大会宣言
今日ほど、人権と平和の確立に向けた闘いが重要なときはない。
米英によるイラク戦争への協力のために自衛隊海外派兵を強行して以来、憲法や「教育基本法」の改悪をめざす国権主義と反人権主義の動きがますます強まっている。さらに、この間の小泉政治は競争主義と格差社会を激化させ、弱者切り捨ての「構造改革」、無責任な「民間委託」と「規制緩和」による大量失業を生み出している。そして社会不安の増大が私たちの生活に暗い影を投げかけ、子どもたちへの心痛む凶悪犯罪の多発とともに悪質な差別事件が続発している。
とくに東京での大量・連続差別投書事件では「犯人」が逮捕されたものの、福岡では2年以上も同様の連続差別投書事件がいまだに続いている。また、行政書士などによる戸籍謄本等不正取得事件では、「部落地名総鑑」が今なお存在することが明らかになっている。私たちは、こうした悪質な差別事件にたいする糾弾闘争に組織的にとりくみ、広範な市民に差別の実態を強く訴えていかなければならない。いまや差別や人権侵害を許さない総合的な人権の法制度の確立が急務の課題である。とりわけ「部落解放基本法」制定闘争20余年の成果を受け継ぎ、今国会での「人権侵害救済法」早期制定をかちとるために全力をあげて闘いをすすめよう。
また、狭山再審の闘いでは、弁護団が提出した数多くの無実を示す証拠にたいして、最高裁は一切の事実調べをすることもなく、不当にも昨年3月に特別抗告棄却決定を出した。私たちは、この棄却決定を断固として許さず、5月に請求される狭山第3次再審の闘いで、石川一雄さん、弁護団を全面的に支え、各地の住民の会とともに、「石川さん無実」の広範な世論の力を創り出し、狭山再審闘争勝利に向けて闘いを前進させよう。
部落解放運動は、さまざまな困難をのりこえ、一貫して戦争と差別に反対し、人権と平和の確立を求める多くの人たちとの協働・連帯の闘いをすすめてきた。
本大会でも、「人権侵害救済法」の早期制定をはじめとした部落解放・人権政策の確立に向けたとりくみや狭山再審の闘いを中心に、差別糾弾闘争の強化、男女平等社会の実現、地域性を生かした「人権のまちづくり」運動の推進、自立・自闘に向けた「人材育成・組織改革・財政確立」の実践、そして人権と平和の確立をめざした反差別共同闘争や国際連帯活動の強化など、部落解放運動の基本方向を確認した。
私たちは「人権・平和・環境」を基軸とした人権立国建設に向けて、協働・共生の部落解放運動を大きく前進させ、私たちの崇高な使命である部落解放-人間解放の輝かしい世界の獲得のために闘い抜くことを誓い合うものである。
右 宣言する。
2006年3月5日
部落解放同盟第63回全国大会
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