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部落問題資料室
部落解放同盟ガイド
声明

 

大阪「飛鳥会」問題等一連の不祥事にかかわる見解と決意

2006年9月29日

部落解放同盟中央執行委員会

Ⅰ.大阪「飛鳥会」問題等に対する満腔の怒りと衷心からの謝罪
(1)大阪「飛鳥会」問題等一連の不祥事の発覚
 ①本年5月8日に、部落解放同盟大阪府連飛鳥支部(大阪市)の小西邦彦支部長が、業務上横領の容疑で大阪府警に逮捕されました。新聞・テレビなどのマスコミ各社は、この事件を一斉に報じるとともに、それ以降長期にわたって同和行政や同和事業との関連で連日のように批判的にとりあげ、特集報道もおこなってきました。
 ②これら一連の不祥事報道により、部落解放同盟の中には衝撃と怒りの激震が走りました。全国の多くの関係者から事実関係についての問い合わせが、中央本部や関係組織に殺到したことは言うまでもありません。部落解放同盟としては、事実関係の全容が把握できない状況ではありましたが、現職の支部長が刑事事件容疑で逮捕されたという事実は、部落解放運動の社会的信用を失墜させるとともに、今日的な社会状況のもとでは部落差別を拡大助長する結果をもたらすことは必定であり、満腔の怒りと憤りを持ってこの事態を受けとめてきたところです。
 ③同時に、この事件がもたらす結果を考えた時、部落解放運動に対する辛苦を厭わない支援をいただいている関係者の人たちや長年にわたって心血を注いで部落解放運動の社会的信用を築き上げてきた多くの先達に対して申し訳ない気持ちで胸が裂かれる思いでありました。わけても、全国の各地域でまじめに寝食を忘れて部落解放運動に取り組んでいる部落大衆の気持ちに思いを馳せる時、断腸の思いでした。
 ④いずれにしても、差別撤廃・人権確立という社会的正義をめざす部落解放同盟にあって、いかなる理由があろうとも社会的に指弾される犯罪行為を構成員が引き起こしてしまったことは、当該の府連はもとより中央本部はじめ各級機関の指導責任が厳しく問われるものであり、社会的責任にもとづく心からの謝罪を表明するものです。
 ⑤部落解放同盟中央本部としては、今回の問題を組織として真正面から受けとめることを基本にして、大阪府連の取り組みを先行させつつ、その対応を軸にしてこの間の事態の推移と全容解明の動向を注意深く見守ってきたところです。また事態の緊急性から同時並行的に、5月15日には中央委員会と全国委員長・書記長会議を開催し、さらに6月から9月にかけて全国の都府県連別支部活動者会議を開催しながら、事件の概要報告と全国の2000を超える全支部組織の自己点検・改革の必要性を強く訴える取り組みを行ってきたところです。
 ⑥事件の発覚以来4ヶ月を経過した今日段階で、大阪府連は9月9日に組織内外の関係者やマスコミにも呼びかけて『部落解放運動 信頼の再構築と再生にむけて―「飛鳥会等事件」真相報告集会』を開催し、事件の詳細な経過と問題点を明らかにするとともに、部落解放運動再生にむけた組織改革への課題と決意を公表しました。中央本部としても、大阪府連の努力により組織的責任にかかわっての事件の全容がほぼ解明されてきたと判断しているところです。(詳細は、大阪府連「報告集会資料」参照)
 ⑦また、極めて遺憾ではありますが、「飛鳥会」問題の取り組みの過程で、8月20日には大阪府連安中支部(八尾市)の丸尾勇相談役が地元の公共工事をめぐる恐喝容疑で逮捕され、さらに数日後には京都市職員の覚醒剤問題や無免許通勤問題など相次ぐ不祥事が発覚し、あたかも同和行政が原因であったかのごとく大々的に報道されたところです。 
 ⑧これらの事態を踏まえて、部落解放同盟中央本部として今回の大阪「飛鳥会」問題等の一連の不祥事に対する見解と部落解放運動の再生および部落解放同盟組織の総点検・改革にむけた決意を文書をもって組織の内外に公表するものです。

(2)中央本部と大阪府連等の主な取り組み経過
①5月 8日 小西邦彦飛鳥支部長が業務上横領容疑で大阪府警に逮捕。
②5月13日 大阪府連執行部『(財)飛鳥会理事長・小西邦彦氏の逮捕に対する大阪府連の見解』を表明。
③5月15日 中央委員会・全国委員長書記長会議で飛鳥会問題の報告と討議。
④5月15日 小西飛鳥支部長より「支部長辞任」と「同盟脱退」を届出。
⑤6月~9月 全都府県連での「支部活動者会議」で説明と討議。
⑥6月10日 大阪府連執行委員会が犯罪行為とえせ同和行為等の理由で「小西邦彦除名処分」申請を決定するとともに「飛鳥会問題糾明委員会」を設置。
⑦6月21日 中央執行委員会で取り組み経過の確認。
⑧7月21日 全国組織強化本部会議で経過報告と組織総点検運動実施の提起。
⑨8月20日 丸尾勇安中支部相談役が恐喝容疑で大阪府警に逮捕。
⑩8月26日 部落出身の京都市職員が相次ぎ不祥事で京都府警に逮捕。 
⑪8月29日 中央本部三役会議・中央執行委員会で大阪・京都府連の取り組み状況の確認。
⑫9月9日 大阪府連『「飛鳥会等事件」真相報告集会』の開催。
⑬9月29日 中央執行委員会『中央本部見解と決意』を表明。
⑭10月~12月 全国組織総点検・改革運動の実施。


Ⅱ.「飛鳥会」問題等一連の不祥事に対する基本的見解
(1)反社会的な「犯罪」行為・「えせ同和」行為は断じて許さない!
 ①反社会的な犯罪行為は、何人であろうとも許すことはできないというのが部落解放同盟の基本的な立場であることは、言うまでもありません。それは、部落出身者であろうとも、部落解放同盟員であろうとも変わりないことです。
 ②とりわけ、社会的正義を求める部落解放同盟の構成員が、今回の「飛鳥会」問題等のように部落解放運動とは無縁の反社会的な私利私欲による犯罪行為や同盟組織の肩書きを悪用してえせ同和行為を犯したことに対しては、全国のすべての同盟員はこれらの行為を満腔の怒りをもって断罪するものです。
③何故ならば、今回の一連の不祥事は、部落解放同盟と部落解放運動が80有余年の長きにわたって築き上げてきた社会的信頼と成果を一瞬のうちに突き崩すものであり、あまつさえ部落差別が現存するもとでは、部落出身者の個々の犯罪の事実をもって「部落=悪の温床」とする根強い不当な一般化により差別を拡大・助長していくからです。
④現実に、今回の不祥事にかかわる報道の影響によって、「部落はやっぱり怖い」とか「解放同盟は暴力利権団体だ」とかの差別的陰口の中で肩身が狭い思いをしているという同盟員の報告が多数がなされてきています。また、ある地域では部落出身の子どもたちがイジメにあい、学校にいけなくなったとの報告も寄せられはじめています。断腸の思いであり、痛恨の極みです。

(2)問題惹起の背景としての運動・組織体質を徹底的に切開する!
 ①問題は、これら一連の不祥事が部落解放運動や組織とは無縁の犯罪行為であるとはいえ、同盟組織の構成員が何故このような不祥事を引き起こしたのかということです。決して「個人的な犯罪」とか「権力からの弾圧攻撃」とかということだけですますことができるような問題ではなく、このような運動弾圧の口実を与える個人を生み出した運動的・組織的体質はなかったのかということを徹底的に自己切開・自己点検し、同盟組織の改革と部落解放運動の社会的信頼回復への課題を明確にすることが不可欠です。
 ②1990年代の前半から、部落解放同盟中央本部は「同和対策事業総点検・改革運動」を全組織に提唱してきました。『解放が目的、事業は手段』という運動の理念が本末転倒になってはいないか、『功利的物取り主義や幹部のボス化』という弊害は出ていないか、『えせ同和行為』を許さない土壌ができているか、『逆差別』を克服するような事業の社会性ある位置づけや周辺地域との協働の取り組みができているか、などの観点から「特別措置法」の期限後をも見据えながら「点検改革運動」を長期にわたって取り組んできましたが、所期の目的が十分に達成できていなかったとの反省があります。
 ③しかも、同和対策事業総点検・改革運動が全国的にみても先進的に取り組まれてきたところの一つである大阪府連や京都府連において、今回の不祥事が惹起したという事態を深刻に受けとめておかなければなりません。大阪府連でも分析しているように、支部大会や執行委員会が開催されていないなど組織の民主的運営にかかわる問題が生じているなど今回の事態につながる兆候があったにもかかわらず、現状認識の甘さから組織指導を十分に実施することができず、結果として不正を見逃してしまった組織的弱さを指摘しなければなりません。
④とりわけ、部落解放同盟が地域を拠点とした組織であるがために、ややもすれば共同体的組織のような「なれ合い体質」をもちやすいという弱点から、「現状認識の甘さ」が生じる傾向が常にあるということを明確に意識し、絶えざる自己検証を行っていく必要があります。『部落差別からの完全解放の実現』という歴史的・社会的使命をもった大衆団体である部落解放同盟は、社会的責任ということを念頭において同盟綱領の立場を日常的に貫徹していく運動展開と組織運営が不可避であることを改めて肝に銘じなければなりません。自らの襟を正すことなくして、社会的正義を求めたり実現していくことは不可能であることは自明です。
 ⑤したがって、ここ数年来のさまざまな不祥事をしっかりととらえ直し、部落解放同盟としての社会的責任にもとづく組織改革と運動再生への取り組みを、自らの血を流す覚悟で進めていきます。部落解放同盟は、同盟員が引き起こした不祥事について、犯罪は犯罪として厳しく社会的に指弾されて当然であるし、組織的にも当該者を厳しく断罪するとともに、そのような個人を生み出した組織的弱点を抉り出しながら問題克服への改革を行っていくことによって社会的責任を果たしていきたいと考えています。

(3)不祥事を口実にした不当な「行政責任の放棄」は許されない!
 ①この間、関大阪市長や桝本京都市長は、マスコミ取材に答えて、今回の不祥事の要因があたかも「同和行政を行ったこと」にあったかのごとき発言をしています。これは、問題の本質をごまかした責任転嫁の発言であると言わざるを得ません。 一連の不祥事を口実にして、その原因を同和行政の存在そのものにおっかぶせて、部落差別撤廃にむけたこれまでの取り組みの一切合財を否定し、さらには今後の差別撤廃・人権確立にむけた行政施策を縮小・廃止しようとする無責任きわまりない言動は、看過することのできないものです。これは、差別撤廃への行政責任を放棄するものであり、部落差別が存続する限り同和・人権行政は積極的に行うとしてきた確約を反古にする背信行為です。絶対に許してはなりません。
 ②今回の「飛鳥会」問題は、部落差別を撤廃するための同和行政を行ったから生じた問題ではなく、同和行政の目的と原則を逸脱して、個人的な私利私欲による犯罪行為やえせ同和行為が行われ、個人的な便宜供与に行政や企業が加担した結果生じた問題でということです。もちろん、このような個人を生み出した部落解放同盟の社会的責任や犯罪行為・えせ同和行為に加担した行政・企業の責任も問われることは当然であります。
 ③しかし、同和行政を行ってきたこと自体は決して誤りではなく、不祥事の原因をそのことに求めるのは筋違いの認識であり、無責任の誹りを免れることはできません。問題は、差別撤廃のためになされる同和対策事業にかかわる一つ一つの施策について市民や当事者に対して、行政側からの積極的な説明責任が果たされず、適切な情報公開が行われなかったことで同和行政に不透明性を生じさせたことです。そこに、今回のような犯罪行為やえせ同和行為を許す余地が生み出されたのではないかということです。
 ④したがって、今、行政側に求められることは、部落差別撤廃への行政責任を明確にし、差別実態の正確な把握に即した必要施策を同和・人権行政の目的に位置づけて、説明責任と情報公開の原則にもとづく市民・当事者とのパートナーシップのもとに、施策実施をしていくことです。決して、同和・人権行政を廃止することによって問題が解決するわけではないのです。不祥事を口実にして『角を矯めて牛を殺す』ような議論は厳に慎しむべきであり、真の同和・人権行政のあり方を再構築すべきだと考えます。

(4)マスコミは差別撤廃への社会的責任にもとづく報道姿勢を堅持すべきである!
 ①今回の一連の不祥事にかかわってのマスコミ各社の報道量は、前代未聞とも言えるものです。もちろん、社会的犯罪ということに対して厳しく社会的に指弾する報道をされることは至極当然のことです。
 ②しかし、一部のマスコミでは、警察や行政情報だけにもとづいて、事実関係の裏付け検証というマスコミ独自の基本的な取り組みもしないままで事実誤認の無責任な報道がなされたことも事実です。例えば、「飛鳥会」問題において、事件の舞台となった大阪市開発公社から(財)飛鳥会へ随意契約で委託されたという西中島駐車場の事業が個人的な私欲に対応したものであったにもかかわらず「事実上の同和対策事業」などとして報じていますが、明らかに事実に反する報道です。
 ③しかも、同和対策事業に関する「特別措置法」が失効後に、同和・人権行政の施策を行っていることが違法であるかのように扱う報道姿勢は、同和・人権行政の歴史的経過と現状に対する的外れの認識と無知さ加減を示していると言わざるを得ません。
 ④部落解放同盟は、マスコミ関係者の事実誤認や認識不足による無責任な報道によって部落差別が拡大・助長されていくことを強く懸念するものです。マスコミ各社が、不当な一般化による差別的偏見と予断を増幅することなく、差別撤廃への社会的責任に基づく峻別ある報道姿勢を堅持していくように心から期待するものです。


Ⅲ.部落解放運動と同盟組織の再生にむけた決意
(1)部落解放同盟組織総点検・改革運動の全国実施
 ①部落解放同盟は、今回の一連の不祥事を深く反省し、事件の再発防止と抜本的な組織改革にむけ、10月~12月にかけて全国2000余支部における『部落解放同盟組織総点検・改革運動』をやりきります。組織総点検・改革運動の柱は下記のとおりであり、問題があるところについては躊躇なく改革を断行していきます。この取り組みの成否が、部落解放運動の存亡を決するとの認識のもとに、強い危機意識をもって推進していきます。 
 ②綱領的立場の堅持と社会的使命の自覚―水平社宣言の原点に立ち返り、部落解放同盟綱領の立場と社会的使命の自覚を再徹底します。その結果、必要があれば同盟員の再登録も辞さない取り組みを行い、同盟組織の量的減少をきたすことを恐れずに、質的強化をはかります。
 ③大衆路線の原点と組織の民主的運営の徹底―部落解放運動の強みは、大衆路線であるとの原点を踏まえ、一握りの人たちによるボス支配を排除します。機関会議の定期的開催などがおろそかになれば、必ず組織の腐敗と停滞を招くという教訓  を生かし、組織の弱体化を招く「なれ合い的体質」を克服しながら、全支部組織での民主的運営の再徹底をはかります。
 ④反社会的団体要素およびえせ同和行為の一掃―地域内には差別の厳しい現実のもとで自暴自棄や刹那主義に陥るということが多々存在するという歴史的・社会的事情からして反社会的行為に走りやすい土壌があることは否めません。部落解放運動は「この事情を理解はしても絶対に容認しない」との立場から、これらの数え切れないほどの人たちを巻き込んで社会的正義を実現していく同志として運動のなかで人間変革をしてきたという自負と誇りがあります。しかし、今後は、反社会的団体の構成員ではないということにとどまらず、それらの団体との関係遮断ができているかなども明確に判断し、反社会的団体との関係をもっている人やえせ同和行為を行う人については、組織からの一掃をはかります。とりわけ、差別を食い物にするえせ同和行為については、組織内外を問わずこれに本格的に対処し一掃するために、中央本部・都府県連に『えせ同和行為対策本部』(仮称)を設置して、全国的な情報交換などの体制を整備しながら取り組みを徹底していきます。
 ⑤同和・人権行政確立への行政闘争の強化―今回の不祥事を口実にした部落差別撤廃への行政責任の放棄を許さず、全国的に同和・人権行政を強力に推進をするために、差別撤廃と人権確立にとって必要な施策の実施、および市民や当事者への説明責任と情報公開を徹底していくことを求めていきます。そのための行政闘争を強化します。
 ⑥差別実態解決に即した日常活動の活性化―不祥事の惹起につながるような一部の人たちの個人的な私利私欲にもとづく功利主義的要求を排除するためには、差別実態に即してその解決をはかるためにはどのような施策が必要かという大衆討議によって決めていくという作風を再確立することが決定的に大事です。このような取り組みが、部落解放運動を大衆化し、日常活動を活性化させていくことになり、一部幹部のボス化を抑止していくことになります。さらに、そのような施策要求にあたっては、教科書無償化や新高校奨学金制度さらには統一応募用紙などの取り組み経験のように、同様の要求をもっている部落内外の人たちとの広範な協働の取り組みですすめていくことにより一層の実効力を発揮していきます。このような取り組みとして、5年前から部落解放運動の重要課題であるとの位置づけのもとに提起している「人権のまちづくり」運動を、それぞれの地域特性を生かしながら全国に根付かせていくことに全力を傾注します。

(2)同盟員教育の再構築による組織の質的強化と人材育成
 ①部落解放同盟にとって、同盟員教育は何にも増して重要な取り組みです。部落差別を許さないという一点のみで結集している大衆団体である部落解放同盟は、地域に居住するさまざまな階層の人たちによって構成されています。被差別状況のもとで、文字を奪われてきた人や反社会的行動に走った人や組織活動に不慣れな人なども多く組織に加入しています。だからこそ、同盟員教育には多くの時間をかけてきたし、重要でもあったのです。
 ②しかし、組織が拡大し、さまざまな事業が進展する中で、忙しさにかまけて同盟員教育が疎かになり、徐々に組織倫理の退廃が進行していたのではないかと反省しています。  
 ③したがって、支部段階にいたるまでの同盟員教育の場作りの再構築をはかり、徹底した組織の質的強化をはかっていきます。そのことが確保できる運動と組織のあり方を真剣かつ大胆に模索し、それを推進していく人材を育成していきます。

(3)部落解放運動発展への『提言委員会』の創設
 ①今回の一連の不祥事について、事態を未然防止できなかった組織的弱さや現状認識の甘さを反省するとともに、今後の部落解放運動が独り善がりの展開に陥ることなく社会的責任を全うしていくために、外部の第三者を中心にした『提言委員会』を創設します。
 ②『提言委員会』については、法曹界、学者・研究者、行政OBなどの有識者を交えた形で構成していただき、今回の『見解と決意』で示した取り組みがどのように進捗しているかの検証や今後の部落解放運動のあり方などについての提言を行っていただくようにします。
 ③部落解放同盟は、『見解と決意』にもとづいて、実直に運動の再生と組織の改革を実践していくとともに、『提言委員会』の意見を尊重し具体化していく努力を継続することによって、社会的信頼の回復と再構築をはかっていきたいと決意しています。

 以上、今般の大阪「飛鳥会」問題等一連の不祥事に対する部落解放同盟中央本部としての『見解と決意』を表明します。
 部落解放運動に対する権力からの弾圧攻撃は、水平社以来80有余年の闘いの中で常に存在していました。今回の問題で、殊更そのことを嘆いたり泣き言を言うつもりは毛頭ありません。弾圧の口実を与えるような弱さを部落解放同盟がもっていたということこそが厳しく問われなければなりません。
 しかし、その冷厳な認識の上に立って、なおかつ今、意識的な部落解放運動への弾圧攻撃がかけられているという事実に対して鋭敏な対応をすることの必要性を喚起しておくことは重要です。それは、反差別・人権確立を求める部落解放運動の存在が、邪魔であるという政治・社会勢力がこの国に台頭してきていることと無縁ではありません。
 そのことを念頭に置きつつ、反差別・人権確立という歴史的・社会的正義を確立していく闘いを微塵たりとも後退させないことが肝要です。そのためにも、今回の一連の不祥事に対する真摯な反省にもとづき、部落解放運動の社会的信頼の回復にむけた組織の総点検・改革運動を断固として完遂する決意であることを表明します。

以 上

 

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