大 会 宣 言
いま部落解放運動は戦後最大の危機を迎えている。
私たちは、一連の不祥事に対する組織内外の批判を受けて、この事態を真摯に反省し、部落解放運動の社会的信頼の回復と再生にむけた論議をすすめてきた。とくに昨年来、「組織総点検・改革」運動を全国的に取り組み、これまでの組織と運動の全面的な総括をすすめるなかで、組織と運動の現状、問題点と欠陥、課題を共有化し、あらためて「人権・平和・環境」を基軸とした組織と運動のあり方を確固としたものにすべく、中央本部とすべての都府県連・支部との協働作業に取り組んできた。
いまほど人権と平和の確立にむけた闘いが重要なときはない。「教育基本法」改悪や防衛庁の省昇格など、「戦争のできる国」づくりがすすみ、憲法改悪をめざすなかで、国権主義と反人権主義の動きがますます強まっている。さらに市場原理主義のもと格差拡大社会が進行するなかでの社会不安の増大が私たちの生活に暗い影を投げかけ、子どもたちへの心痛む凶悪犯罪やいじめの多発とともに、「電子版・部落地名総鑑」の発覚など、悪質な差別事件が続発している。
私たちは、こうした悪質な差別事件に対する糾弾闘争を組織的に取り組み、広範な市民に差別の実態を強く訴えていかなければならない。いまや差別や人権侵害を許さない総合的な人権の法制度の確立が急務の課題である。とりわけ今国会での「人権侵害救済法」早期制定をかちとるために全力をあげて闘いをすすめよう。
また、狭山再審の闘いでは、新100万人署名活動の力を総結集して、石川一雄さん、弁護団を全面的に支え、各地の住民の会をとともに、「石川さん無実」の広範な世論の力を創り出し、狭山再審闘争勝利にむけて闘いを大きく前進させよう。
部落解放運動は、戦争と差別に反対し、人権と平和の確立を求める多くの人たちとの協働・連帯の闘いをすすめてきた。私たちはいかなる困難があろうとも、この闘いの歩みをいっときも緩めてはならない。
私たちはいま、本大会での組織と運動の再生にむけての真剣な論議をふまえ、差別-被差別の桎梏から自らを解き放ち、「人権・平和・環境」を基軸とした部落解放運動の再生をかちとることを宣言する。
人権と平和の危機が叫ばれるとき、部落解放運動の果たすべき役割を自覚し、差別と闘うすべての人たちとしっかりと手を携え、人権立国建設にむけて新たな一歩を踏み出そう。
以上 宣言する。
2007年3月4日
部落解放同盟第64回全国大会