【大阪支局】第8、9の「地名総鑑」がフロッピーディスクに納められた「電子版・地名総鑑」(2289号既報)が9月に大阪市内の業者から回収されたことをうけて府連は、12月5日、関淳一・大阪市長と懇談し、真相究明など早急な対応を求めた。関市長は、「きわめて悪質。差別が残っている証拠でもある」とのべ、次世代に残る差別意識を少しでも減らしていきたいとの姿勢を示した。
前代未聞の差別事件に
今回の懇談会は、行政書士らによる戸籍不正取得事件や第9、10の新たな「部落地名総鑑」が市内の調査業者から回収されたことを受け、大阪市が関市長を本部長に対策本部が設置されていたことから、今回の「電子版・地名総鑑」の実情を対策本部が把握し今後の対策を検討していくためにもたれたもの。府連からは、北口末広・書記長ら4人が出席した。
北口書記長が、「電子版・地名総鑑」の概要を説明し、第8の地名総鑑には「被差別部落の調べ方」が収録されており、その内容もきわめて差別的であること。10月には「部落地名総鑑」と題したファイルがインターネット上に流出したことなども紹介し「飛鳥会事件以降、同和行政のすべてが悪いかのような印象が広められ、差別意識が活性化している」と指摘。「もし電子版・地名総鑑がインターネット上に流出すれば大変な事態になる。前代未聞の重大な差別事件である」と強調し、対策本部長である関市長に「事件は緊急事態であるとの声明を出してほしい」と要請した。
関市長は、「きわめて悪質。実物をはじめて見て、たんに地名だけではなく、調査のやり方まで載っているのが分かった。差別が残っている証拠でもある」などとのべた。また、同和行政「見直し」についても関市長は、「これまでのやり方をつづけていけば、孫の代にもなっても変わっていない可能性がある。本当に差別をなくすことに役立つ施策を話し合いのもとに決めてやりきりたい」と話したが、具体策には言及しなかった。
電子版・部落地名総鑑
9月末に府連が、第8、9の「地名総鑑」の電子データが納められたフロッピーディスク(FD)を回収。
第8のデータは16枚のFDにほぼ完全なデータが納められ、全国の被差別部落の地名、住所、世帯数などのほか、「被差別部落の調べ方」まで収録され、具体的な調査方法が7項目にわたって記載されている。
第9のデータは、これまでに20枚のFDが回収されたが、ラベル番号が28まであることから少なくとも28枚以上あると考えられる。
2種類の電子版「地名総鑑」は、FDのタイプから1990年半ばごろの入力と推測される。
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