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部落問題資料室
NEWS & 主張
同和教育・人権教育の前進を
研究協力者の差別発言事件から学ぶ
「解放新聞」(2007.01.29-2304)
 【滋賀支局】「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する教育を確立しよう」を大会テーマに、第50回滋賀県人権教育研究大会が10月28、29日、米原市の県立産業交流会館を主会場にひらかれ、2日間でのベ3300人が参加した。節目となった今大会では、「記念報告」をおこなう一方、第48回大会(04年)で発生した、研究協力者による「大津市内では部落差別は解消、近江大橋をこえれば全然違う」などの差別発言事件(2278号既報)の集約として、この差別発言事件から学ぶ分科会を設置し参加者に問題点を返して討議し、同和教育・人権教育をさらに前進させていくことを確認した。

節目の第50回大会で
問題点の整理と集約

 同和教育の中核を担ってきた同研究大会で、しかも研究協力者が部落差別の現実を無視し、行政・教育現場でとりくまれている部落問題解決の営みを否定する差別発言事件(別項)が発生したことにたいして、第48回大会の主催4者(県教育委員会、県人権教育研究会、県社会教育研究会、現地実行委員会)と提起した草津市、研究協力者が所属する大津市などによって、今大会までに事実確認と問題点の整理や集約に向けた対策会議がおこなわれてきた。
 そして、第50回大会の第2分科会①の「部落問題の現実と課題」 B分散会で、この差別発言事件についてのとりくみ報告がおこなわれるとともに、①部落問題の現状をどうとらえるか②この差別発言から何を学び、どう活かすか③人権教育の「深まり」と「広がり」とは何か、の3点を柱に参加者とともに議論を深め、さまざまな差別問題にたいして、どの位置に立ち、どう向き合っていくか、みずからに問い直すことが大切であることを確認した。
 そのなかで、研究協力者の山本剛さん(野洲市人権情報センター)は「部落差別は社会問題であり、ひとつの地域だけが解決することはありえない」「同和教育か人権教育かではなく、人権教育のなかに同和教育がある。優れた人権教育として同和教育を再評価していく必要がある」と助言。
 同じく研究協力者の冨田多恵子さん(県同推協会長)は、「今なお、女性が前に出ることにたいして風当たりはきつい。さまざまな差別問題は単独で存在するのではなく、複合的に存在している」とのべた。
 節目となった大会では、「第50回記念報告」がおこなわれ、映像を使って50回の歩みが紹介され、被差別部落出身の若者である今村力さんと、在日ブラジル人の奥村ルシア克子さん、障害者の立場から江川進市さんが、それぞれ被差別当事者としての思いを語った。
 分科会には、110本のレポートが提出され、4分科会30分散会の構成で討議が重ねられた。

差別発言事件の概要
 滋賀県人権教育研究大会の第48回大会(04年11月)の第3分科会「人権問題に関する学習・啓発」のE分散会で、研究協力者(元小学校教頭で現職の公民館長)が、「大津は同和教育推進部などはいっさいない。大津は同和ということばはもう使わなくなった。近江を大橋をこえれば全然違うと聞くが……」「結婚や就労などの部落差別は社会的にとらえてもう解消していると認識している」などの発言をおこなったもの。

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