差別ウェブサイトで第1回公判
【愛知】インターネット上の『部落地名総鑑』ともいうべき悪質きわまりない差別ウェブサイト(ホームページ)事件
(2313、
2328号既報)の第1回公判が9月14日午後、名古屋地方裁判所(森島聡・裁判長)でおこなわれた。A被告は起訴事実を認め、弁護人も確認した。検察官の冒頭陳述と、弁護人によるAの父親とAにたいする尋問がおこなわれた。
弁護人の質問に、Aは、「部落」は「集落」と思っていたが、06年9月頃ネット掲示板では「部落」が「やばい感じ」でいわれていたことから、部落の「歴史を調べよう」と、おもに「2チャンネル」や郷土史関連の資料が集められた場所で「(部落の)場所や歴史」を調べた、部落差別は「過去の問題」と思っていた、部落の写真を撮りにいったのは、ネット上に部落の「レポート」や写真が掲載されているのを見て、自分もやってみようと思い、「(インターネット上の)みんなと(部落に)いってきたということを共有したかった」などと語った。
次回の公判は10月2日。被告人尋問のつづきと、差別ウェブサイト告発の糸口となった「名誉毀損」された部落内企業の社長の意見
陳述がおこなわれる予定。
部落差別「過去の問題」
誹謗中傷「される側にも責任」と
愛知・差別ウェブサイト事件
事件の糾弾闘争へ決意
冒頭陳述で検察官は、Aは05年頃からネット上で他人への誹誘中傷をくり返すようになり、「誹誇中傷される側にも責任がある」と正当化していたこと、06年9月頃、掲示板上の書き込みを見て部落問題に関心をもち、10月頃、ホームページを設け、やがて被害企業の写真も公開し、誹誇中傷したこと、12月頃、ホームページが閉鎖されたが、原因がわからず07年1月頃に再開し、2月15日に削除されるまでに1万件をこえるアクセスがあったこと、など経過を説明。被害企業の被害感情や吉田勝夫・愛知県連委員長の供述調書も説明し、差別を助長する大変悪質な誹誇中傷、ホームページの記載内容はそうとう同和問題を調べていないと作れない、十分知識をもっていたのに中傷しており悪質、ホームページの影響範囲は正確にはわからないが、被害店舗は不安でたまらない状況、模倣犯防止のためにも厳しい処罰を、と求めた。
また、A所有のDVDからホームページと同内容のデータが見つかったこと、Aが部落の写真を撮るさいにAを車で連れていったという父親の供述調書、「自分のしたことを反省してもらい、それを見守りだい」という母親の供述、なども提出した。
弁護人は、同和問題は歴史部分にだけ興味をもって調べていた、差別は過去のものと思っていた、出所したら、B企業に直接出向いて謝罪したい、弁護士をつうじて30万円の謝罪金を支払いたい、などとした、A作成の「謝罪の手紙」「反省文」などを提出。Aの父親に証人尋問した。
Aの父親は、Aが事件当時無職だったのは、Aには喘息、偏頭痛、アレルギーがあり、以前Aが契約社員(アルバイト)として働いていた夜勤が多い職場では頻繁に症状が出ていたこと、無職になったAはインターネットに携わる時間が多かったこと、車でAを連れていったのは、以前Aは嘔吐するため車を嫌っていたが、今回Aに頼まれて「子どもとドライブできることがうれしかった」こと、差別ホームページは「3月14日に告訴されてはじめて知った」こと、事件が新聞に載り、警察にいくよう促したが、結果的には弁護士に相談にいき、ようすを見る案にしたがったこと、などを証言。「(Aは)仕事をしておらず、インターネットに携わる時間が多かった。やはり道徳感覚の価値観が低下してきて、自分で作成して(ネット上で)良い評価をえて、図に乗ってしまったのではないか」など語った。
第1回公判には、愛知県連から吉田委員長をはじめ、多くの同盟員が傍聴に参加、岐阜県連、三重県連からも傍聴に参加した。20人しか傍聴に入れない狭い法廷であったため、交代しながら傍聴した。公判後、桜華会館で、報告集会をひらき、公判の内容を浅井得次・弁護士と山崎鈴子・愛知県連書記次長が説明し、意見交換。
吉田委員長は「26歳の青年がなぜこんな事件を起こしたのか。できるだけ真相を掘り起こして聞きたい」「この事件は、けっして愛知県だけの問題ではない。容認したら水平社いらいの85年にわたる解放運動が水泡に帰す」と語り、全容解明、糾弾闘争の決意を語った。
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