大阪市内の4支部支部事務所の人権文化センターでの使用不許可の取り消しを求めた裁判で、3月27日、大阪地裁は歴史や経過を無視し、事務所の明け渡しを求める不当判決をおこなった。大阪府連の抗議文を全文掲載する。
人権文化センター内支部事務所の使用不
許可処分取消請求の棄却決定に抗議する
部落解放同盟大阪府連合
大阪市内の人権文化センターに部落解放同盟支部事務所がある。それを大阪市は、1年毎の使用許可を2007年度からは行わないと生江、住吉・平野・西成の4支部に対して、「退去するように」と一方的に通知してきた。我々は、不当な大阪市の決定に対して、不許可処分の取り消しを求めて提訴したが、3月27日判決が言い渡された。結論は、「原告(4支部)らの請求はいずれも理由がないので棄却する」というものである。同時に大阪市側から支部事務所の明け渡し訴訟が提訴されており、その判決に至っても、「建物(支部事務所)を明け渡すとともに、別紙損害金目録中の各被告(4支部)に対応する金員(使用料・光熱水費他)を支払え」というものであり、全面的に我々の主張が退けられるという不当な判決である。
支部事務所として取り組んできた歴史性、さらには、果たしてきた役割、そして、今後の人権文化センターのあるべき姿から見ても、人権団体やNPO、さらには教育・福祉の市民団体などの事務所として機能させるための活路を見いだす裁判として、4支部の課題だけではなく、人権団体に対する公的支援の必要性という視点からも訴訟を提起してきたところである。
同和行政や人権行政は、当事者が安心して心から納得して相談できる当事者性を重視した施設であるべきであり、〝箱もの″だけに頼らない〝身近で寄り添った″施設でなければならないという基本のところが、裁判の争点だと我々は主張してきたが、この主張は、まったく無視され「原告(4支部)らの活動が人権文化センターの目的に沿ったものとしても、その支部事務所をそこに設置することまでその目的に沿うことにはならず、」と一方的に退けている。
行政財産である公的施設の運営が、行政だけに偏ることなく、建設された歴史性や「条例」で提起されている目的がさらに推進されるのであれば、民間の団体の利用が、施設の目的に適用していると認められることは時代の趨勢といえる。しかもそれが、人権に関する公的施設であればあるほど、当事者性や差別や抑圧を受けたもの同士による相談や救済、センシティブな情報をキャッチする能力は、行政より同じ境遇にあるマイノリティ当事者の方が共有できるはずである。そのことを実践してきたのが、支部事務所が存在した解放会館であり、人権文化センターではなかったのか。我々は、今回の判決に断固抗議するものである。そして、さらに幅広い市民との連携をつくりあげ、裁判闘争の勝利をめざすことをここに表明する。
2008年3月27日
部落解放同盟大阪府連合会
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