大 会 宣 言
私たちは、部落解放運動の危機的状況をしっかりと見据え、「再生・改革」全国行動をとおして、運動と組織の現状と課題を共有化しながら、部落解放運動の再生に向けての自力自闘のとりくみをすすめてきた。今日の格差拡大社会のなかで強まる差別、深刻化する格差や貧困を打ち破るために、差別と戦争に反対し、人権と平和の確立をめざす部落解放運動の果たすべき役割は大きい。
何よりも部落の兄弟姉妹(きょうだい)のいのちと生活を守るための闘いは、部落内外の共通の課題を解決するための反差別・反貧困の協働のとりくみでもある。私たちは、部落解放運動の再生と社会的信頼を回復をかちとり、いかなる困難に直面しようとも、この闘いをさらにおしすすめていかなければならない。
とくに、社会不安が増大し、国権主義・反人権主義と安易に結びつくなかで、インターネットでの差別書き込み、戸籍や住民票などの不正取得による差別身元調査をはじめ、部落差別はもとより、在日朝鮮・韓国人や障害者への差別、子どもや女性、高齢者への虐待など多くの差別事件、人権侵害が起きている。私たちは差別糾弾闘争を強化するとともに、このような差別事件、人権侵害への救済制度の確立が急務の課題であるとして、「人権侵害救済法」の早期制定にとりくんできた。差別を社会悪として禁止し、人権の法制度に向けた闘いをいまこそ全力をあげてすすめていかなければならない。
また、同和行政・人権行政の後退を許さず、「人権教育・啓発推進法」を積極的に活用するとともに、「人権のまちづくり」運動を推進し、仕事・生活・福祉・教育などの地域の実践的課題へのとりくみをすすめよう。
また、狭山再審の闘いでは、事実調べと証拠開示を求めるとともに、えん罪をなくすためのネットワークを拡げ、取り調べの可視化や公正な証拠開示制度の実現など、司法改革のとりくみと結合させて、「石川さん無実」の広範な世論の力を創り出し、狭山再審闘争勝利に向けた闘いを大きく前進させよう。
さらに、来るべき総選挙では、差別・格差・貧困を打ち破る闘いと部落解放運動の再生・改革の闘いをおしすすめ、松本龍副委員長の7選必勝と政治変革をかちとるために総力をあげて闘いをすすめよう。
私たちは、いまこそ、全国水平社創立の精神に立ち戻り、いまなお差別に呻吟する部落の兄弟姉妹(きょうだい)の想いをしっかりと受けとめ、荊冠旗のもとに団結し、差別と闘うすべての人たちとの連帯・協働をすすめ、部落解放-人間解放の拠点を築きあげながら、「よき日」に向けてともに奮闘しよう。
右 宣言する。
2009年3月4日
部落解放同盟第65回全国大会