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第68回全国大会宣言

 

 

 昨年の参議院選挙は、政権交代後の重要な闘いであったばかりでなく、松岡書記長の再選をかちとるために、部落解放同盟が総力をあげた闘いでもあった。しかし、選挙結果は、私たちの運動や組織のありようを厳しく問い直さなくてはならないものであった。
  この間、私たちは組織をあげて選挙闘争の総括をすすめ、運動や組織の弱さを率直に見据えるとともに、この困難な情況を打ち破り、部落解放運動を大きく前進させていくことを確認してきた。
  いま、政権交代という政治の大きな変革への期待が残念ながら大きな落胆に変わりつつある。小泉政権いらいの格差社会のなかで、強まる差別や深刻化する生活破壊や貧困が、いまだに私たちの生活に暗い影を投げかけている。しかも、こうした社会の閉塞感を背景にしながら、反人権主義、国権主義の動きが強まっている。
  私たちは、排除・忌避・孤立を強いられているすべての人たちとの社会連帯を実現し、いまこそ、差別と戦争に反対し、人権と平和の確立、男女平等社会の実現をめざす部落解放運動の果たす役割をしっかりと自覚しよう。私たちは、必ずや部落解放運動の反転攻勢をかちとり、いかなる困難に直面しようとも、統一と団結を強め、部落完全解放に向けた闘いをさらにおしすすめていかなければならない。
  とくに、部落の兄弟姉妹(きょうだい)のいのちと生活を守るための闘いは、部落内外の共通の課題を解決するための反差別・反貧困の協働のとりくみでもある。同和行政・人権行政の後退を許さず、「人権教育・啓発推進法」を積極的に活用するとともに、「人権のまちづくり」運動を推進し、仕事・生活・福祉・教育などの地域の実践的課題へのとりくみをすすめよう。
  今日、土地差別調査事件やインターネットでの差別書き込み、戸籍や住民票などの不正取得による差別身元調査など、部落差別はもとより、在日朝鮮・韓国人や障害者への差別、子どもや女性、高齢者への虐待など多くの差別事件、人権侵害が起きている。私たちは、差別糾弾闘争を強化するとともに、このような差別事件や人権侵害への救済制度の確立が急務の課題であるとして、「人権侵害救済法」の早期制定にとりくんできた。差別を社会悪として禁止するなど、人権の法制度の確立に向けた闘いを全力ですすめていかなければならない。
  また、狭山再審の闘いでは、三者協議での東京高裁による証拠開示勧告を受けて、不十分ながらも、証拠開示がおこなわれた。私たちは、事実調べとすべての証拠開示をおこなうよう強く求める。今後とも、えん罪をなくすためのネットワークを拡げ、取り調べの全面可視化や公正な証拠開示制度の実現など、司法改革のとりくみと結合させて、狭山再審闘争勝利をかちとるために全力をあげた闘いをすすめよう。
  そして、今春の統一自治体選挙では、地域での生活や福祉、雇用の課題などの政策実現と、人権・平和・環境の確立にとりくむ議員を当選させよう。とくに、組織の総力をあげて、私たちの代表を議会に送り出し、部落解放運動の原点に立ち戻り、支部や地域でのさまざまな課題解決、要求実現に向けた闘いをすすめよう。まさしく、私たち一人ひとりが、この厳しい情況に立ち向かい、この統一自治体選挙戦を闘い抜き、必ずやこの闘いに勝利しなければならない。
  いまこそ、荊冠旗のもとに力強く団結し、差別と闘うすべての人たちとの連帯・協働をすすめ、部落解放-人間解放の拠点を築きあげながら、「よき日」に向けてともに奮闘しよう。

 右 宣言する。

2011年3月4日
部落解放同盟第68回全国大会

 

 

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