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部落問題資料室
部落解放同盟ガイド
決議

 

第69回大会宣言

 1922年3月3日、京都の岡崎公会堂での全国水平社創立大会は、部落民自身による自主的な部落解放運動の出発点であると同時に、日本における反差別・人権確立の闘いを大きく前進させる画期的なものであった。全国水平社は、この創立大会で採択された「全国水平社創立宣言」で明確に示されているように、それ以前のさまざまな部落改善事業や融和運動と訣別し、部落民自身の闘いにもとづく自主的な運動の必要性を全国のきょうだいに呼びかけたのである。全国水平社創立の大きな歴史的意義はここにある。
  爾来、多くの先達の苦闘のなかで、部落解放運動は幾多の困難な情況を打ち破り、組織と運動を発展させてきた。しかし、われわれは、この90年の闘いの歴史を振り返るときに、この先達の苦闘にふさわしい成果をかちとってきたのかとの想いをあらたにしなければならない。
  「人権侵害救済法」制定の闘いでは、ようやくにして政府が法案骨子を示したが、まだまだ不十分な点も多い。地域での取り組みをさらに強化し、実効性のある人権委員会の設置をはじめとした法案の充実をめざそう。また、狭山再審闘争では、この間の三者協議のなかで、不十分ながらも証拠開示をかちとってきた。証拠開示の法制化を求める100万人署名活動も全国ですすめられている。こうした取り組みと結合させて、全証拠開示と事実調べを実現させ、なんとしても再審を開始させるために全力をあげて闘い抜こう。さらに「人権のまちづくり」運動や「人権教育・啓発推進法」を活用し、同和・人権教育や部落問題解決に向けた行政施策の推進、差別糾弾闘争の強化、反差別国際連帯活動など、今日的な部落解放運動の課題にも取り組んでいかなければならない。
  昨年の東日本大震災や台風などの自然災害での大きな被害では、われわれ自身の日々の生活のありようを深く問い直すことが求められた。そこでは、人と人の関係を豊かに繋ぎ直すことをめざす、人権・平和・環境と社会連帯の実現を基軸にした部落解放運動の重要な役割がいっそう明確になったといえる。さらに、格差社会のもとでの不安定な雇用状況や貧困の問題も世界的に深刻化している。しかも、閉塞化した社会情況のなかで、悪質で確信的な差別事件が多発している。われわれは、部落差別撤廃にむけた広範な取り組みをすすめるとともに、人権と平和の確立を共通の課題としながら、広範な協働の闘いを強化していかなければならない。
  このように、いまだにきびしい差別に苦しんでいる多くのきょうだいのいのちと生活を守り、部落差別撤廃と人権の確立にむけた協働・連帯の闘いは大きく拡がりつつある。一方で、われわれの組織と運動の克服すべき課題は山積している。この間取り組んできた運動と組織の改革運動とそれを通じた行動指針や規約改正、新綱領の意義をいっそう明確にして、次代を担う人材育成こそが急務の課題である。
  われわれは、これからの部落解放運動がめざすものを明確に提示しながら、同時に運動への共感、感動をかちとっていくために、今一度、運動の原点でもある「全国水平社創立宣言」に立ち返ることが求められている。全国水平社創立以来の90年の闘いに学びながら、建設的にその歴史的な成果を正しく継承するとともに、闘いのなかの誤りを率直に総括し、教訓化していくことが重要である。真撃な論議を積み重ねながら、部落解放への道筋をしっかりと示していこう。
  「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれた「全国水平社創立宣言」の思想をあらためてわがものとし、部落解放-人間解放という崇高な使命を果たすべく、荊冠旗のもとに力強く団結し、「よき日」にむけてともに奮闘しよう。

右 宣言する。

2012年3月31日
部落解放同盟第69回全国大会

 

 

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