人権侵害救済制度の確立に向けた決議
私たちは、民主党政権のもとで、人権侵害救済制度の確立をめざして全力をあげてとりくみをすすめてきた。しかし、この3年間の闘いのなかで、昨年11月に「人権委員会設置法案」がようやくにして閣議決定されたものの、衆議院解散-総選挙で廃案となった。
2009年の政権交代は、新自由主義による格差拡大社会での深刻化する貧困や差別問題の解決、いのちと生活を守り、人権と平和の確立に向けた政治を実行することに期待した選択であった。私たちも、「人権・平和・環境」を基軸にした政治への変革に向けての大きな第一歩となることを確信し、人権侵害救済制度の実現に向けて、中央実行委員会や都府県実行委員会を中心に、集中的な国会行動を展開してきた。
しかし、民主党政権のもとでさえ、私たちのとりくみはさまざまな困難な課題に直面してきた。人権擁護推進審議会による国内人権機関の設置が答申されてから10年以上が経過したにもかかわらず、法案は政治的な取り扱いを余儀なくされ、法案内容も大きく後退してきた。一方、こうした局面の打開に向けて、人権政策の確立は党派をこえた重要な政治課題であるとして、超党派の国会議員をはじめ、連合や部落解放中央共闘会議、企業や宗教関係者による精力的な要請行動が展開され、多くの自治体の議会決議も採択された。しかも、悪質な差別事件や人権侵害があとをたたない今日の人権をめぐる情況をみれば、政府はただちに法案を成立させるべきであり、それが国際的な要請にも応えるものであった。しかし、民主党政権のもとでは、法案を実現することができなかった。これが日本の政治の現実であり、日本の人権状況の実態だ。私たちは、この困難な情況を打ち破るために、協働・連帯の輪を拡げ、広範な闘いの体制を再構築していかなければならない。
差別事件や人権侵害にたいする救済制度の確立は急務の課題である。部落差別を公然と扇動し、民族排外主義を強める反人権派の台頭を決して許さず、人権確立社会に向けて広範な闘いをすすめよう。法案の実現はできなかったものの、この間の闘いの到達点と課題をしっかりと確認しながら、部落解放・人権政策確のとりくみを強化しよう。
私たちの部落差別撤廃に向けた闘いは、大きな協働・連帯の力によってとりくみを前進させてきた。いまこそ、反差別共同闘争の力を大きく結集し、人権侵害救済制度の確立をめざして、組織の総力をあげて闘いをすすめよう。
右 決議する。
2013年3月4日
部落解放同盟第70回全国大会