橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)の人権無視の暴言に対する抗議声明
橋下徹・大阪市長(日本維新の会共同代表)の一連の暴言で、部落解放第58回全国女性集会の参加者一同と中央本部・女性運動部による5月17日付けの抗議文(2620号掲載)に続き、「橋下徹・大阪市長(日本維新の会共同代表)の人権無視の暴言に対する抗議声明」を24日の第3回中執委で確認・決定した。全文を掲載する。
橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)は、5月13日に「あれだけ銃弾が飛び交うなか、精神的に高ぶっている猛者集団に休息を与えようとすると、慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」などと発言した。また、橋下市長は、5月1日の沖縄県の米軍普天間飛行場の視察で、「もっと風俗業を活用してほしい」「そうしないと海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロールできない」などと発言していたことも自ら明らかにした。
こうした橋下市長の一連の暴言は、最大の人権侵害である戦争を肯定するとともに、女性の人権を無視し、「性の道具」として扱う悪質な差別発言である。また、その後も慰安婦制度の必要性を強調し、「人間に、特に男に、性的な欲求を解消する策が必要」などと居直り、男性にとって性欲はコントロールできないなどとして、女性だけでなく、男性をも冒涜する発言を続けている。
日本軍「慰安婦」問題については、1993年の河野洋平官房長官談話において「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たり、その場合も甘言、強圧による等、本人の意志に反して集められた事例が数多くあり、さらに、官憲等が直接これに加担したこともあったこと」を認め、「慰安所における生活は、強制的な状況下で、痛ましいもの」であり、「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」であったとし、日本政府は「いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」と表明している。さらに、国際社会においても、慰安婦制度は、戦時下において、女性を「性の道具」として扱う重大な人権侵害であり、犯罪行為であるとされているのは周知の事実である。
また、今回の一連の人権無視の暴言には、中国や韓国、米国など海外からも強い非難の声が上がっている。橋下市長の発言は、「河野談話」や侵略戦争の反省を表明した「村山談話」の見直しをすすめ、憲法改悪策動を強める安倍首相と同様の誤った歴史認識にもとづくものであり、断じて許されない。まさに、日本維新の会の露骨な国権主義、反人権主義の体質が、今回の橋下発言によって露呈されたのである。
われわれは、橋下市長の暴言が、慰安婦制度が必要であると公然と主張する、悪辣な人権侵害であると同時に、差別発言であることに強く抗議し、人権と平和の確立をめざす取り組みに逆行する一連の暴言に対して、謝罪と撤回を強く要求するものである。
2013年5月24日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 組坂 繁之