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部落問題資料室
部落解放同盟ガイド
見解

 

集会アピール

 39年前のきょう、東京高裁の寺尾正二裁判長は、石川一雄さんに無期懲役判決をおこなった。寺尾判決は、脅迫状と石川さんの筆跡が同じであることが有罪の証拠の主軸といい、万年筆や鞄、腕時計の発見について捜査の不正はなく、自白は信用できるとした。この有罪判決がいまも石川さんに「みえない手錠」をかけている。
  しかし、「指紋がないからといって犯人でないとはいえない」などとした寺尾判決は市民常識からしても疑問だらけである。そして、第3次再審請求において、この間130点以上の証拠が開示され、無実の新証拠がつぎつぎと発見され、寺尾判決は大きく揺らいでいる。
 石川さんが逮捕当日に書いた上申書が3年前にはじめて検察官から証拠開示され、脅迫状と筆跡が異なるとする専門家の筆跡鑑定が5通提出された。また、証拠開示された当時の捜査報告書によって、腕時計が発見された場所がすでに警察によって捜索すみであったことが浮びあがり、この腕時計が被害者のものではないことも専門家の鑑定で明らかになっている。自白の疑問を示す法医学者の鑑定やOさんの証言も裁判所に出されている。先日も、犯行に使われた手拭いが石川さんの家のものではないことを明らかにする新証拠が証拠開示によって発見された。自白の疑問と捜査の不正、石川さんの無実を示す重要な新証拠である。検察官の主張を鵜呑みにして手拭いを有罪証拠にした寺尾判決の疑問がまた明らかになった。
 証拠開示と科学的鑑定によって39年前の寺尾判決の誤りと石川さんの無実はますます明白になっている。いまこそ、弁護団が求める徹底した開示と事実調べがおこなわれなければならない。
 狭山事件の第3次再審請求を審理する東京高裁第4刑事部の河合裁判長は検察官に証拠開示を促しているが、先日の三者協議でも、検察官は「開示の必要性がない」などとして開示におうじようとしていない。しかし、検察官だけが、裁判に出さなかった証拠をすべて見て、出す出さないを決める権限をもち、弁護側は証拠の内容さえわからないなどという不公平・不公正は許されない。証拠は検察官の独占物ではない。
 再審で無罪となった免田事件、足利事件、布川事件の教訓は、検察官手持ち証拠の開示と鑑定人の尋問などの事実調べが不可欠だということである。しかし、狭山事件では39年前の有罪判決以来一度も事実調べがおこなわれていない。石川さんが冤罪を叫んで50年、東京高裁の河合裁判長は、再審制度の理念とあいつぐ冤罪の教訓をふまえ、証拠開示を積極的にすすめ、鑑定人の尋問をおこなうべきである。
 わたしたちは、狭山事件の第3次再審請求で、徹底した証拠開示と事実調べがおこなわれ再審が開始されるよう強く求める。袴田事件をはじめすべての冤罪の再審開始を求める。そして、冤罪根絶にむけて、すべての冤罪者や支援者、司法の民主化を求める運動と連帯し、取調べ可視化や証拠開示の法制化を実現する闘いを全力ですすめる。
 一人でも多くの人に狭山事件の真実と半世紀無実を叫びつづける石川一雄さんの姿を知ってもらうようドキュメンタリー映画「SAYAMA」の上映運動をすすめ、一日も早く石川さんの「みえない手錠」をはずすために、狭山事件の再審を実現しよう!

2013年10月31日

狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

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