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部落問題資料室
部落解放同盟ガイド
見解

 

袴田事件の再審開始決定にあたっての声明

  袴田事件の再審開始決定が、3月27日午前、静岡地裁で出された。袴田さんは即日釈放されたものの、31日に検察が抗告した。抗告を弾劾し、1日も早く再審を開始させ、袴田さんの完全無罪判決をかちとろう。連帯してとりくみを展開していこう。本部声明が書かれた段階では、まだ、袴田さんの釈放は実現していなかったことを付記する。

 本日、静岡地方裁判所(村山浩昭裁判長)は、袴田事件第2次再審請求において、再審を開始する決定をおこなった。47年もの長きにわたって獄中で苦しむ袴田巌さん、姉で再審請求人の袴田ひで子さん、弁護団と支援者の粘り強い闘いに敬意を表するとともに、ともに喜びたい。
 再審開始決定は、確定判決が有罪の決め手とした「5点の衣類」について、あらたにおこなわれたDNA鑑定や弁護側の味噌漬け実験や開示された証拠などによって、袴田さんのものでもなく、犯行着衣でもないとしたうえで、後日ねつ造された疑いがあるとした。さらに、「5点の衣類」のズボンに一致する端布が袴田さんの家から押収されたことについても、「5点の衣類」にねつ造の疑いがある以上、同様の疑いがあり、警察が発見を装った疑いをも指摘している。
 再審開始決定のカギとなったのは、「5点の衣類」についての裁判所があらたに実施たDNA鑑定と、裁判所の勧告によって開示された数多くの証拠である。裁判所はDNA鑑定や味噌漬け実験、ズボンのサイズについての鑑定人尋問もおこなった。すなわち、弁護側が提出した新証拠について、裁判所が事実調べをおこない、検察官の持つ証拠の開示をすすめることが、誤った裁判から無実の人を救済するために重要なのである。
 わたしたちは、半世紀以上にわたって無実を叫びつづけている石川一雄さんとともに、狭山事件の再審開始を訴えている。袴田さんの再審の闘いとも連帯し、あらゆる冤罪をなくし、誤判からのすみやかな救済を求めてきた。また、冤罪をなくすための司法民主化を訴え、取調べの全過程の可視化と公正な証拠開示の法制化を求めてきた。
 袴田さんは連日、長時間におよぶ取調べで虚偽の自白を強いられ、捜査機関の証拠ねつ造によって犯人にされた。冤罪の構図は狭山事件の石川一雄さんとまったく同じである。狭山事件の弁護団は、石川さんの自白の虚偽、決め手の物証とされた万年筆や腕時計が被害者のものでなくねつ造された疑いがあると訴えている。
 わたしたちは、狭山事件においても徹底した証拠開示と事実調べをかちとり、再審開始、石川さんの雪冤をかちとることを決意をあらたにするものである。多くのみなさんのご支援をあらためて訴える。
 そして、今回の袴田事件の再審開始を教訓とし、あらゆる冤罪の防止、誤判救済のための司法改革、とりわけ弁護側への証拠開示を検察官の義務とする公正な証拠開示の法制化を実現する運動を幅広くすすめることを訴える。
 再審開始決定は、これ以上袴田さんの拘置を続けることは正義に反するとして釈放を決定している。まったくそのとおりである。検察は、ただち袴田さんを解放し、これ以上裁判を長引かせず、一日も早く再審公判を開き、無罪への道を開くべきである。静岡地裁の再審開始決定に対して即時抗告しないよう強く検察に求める。

2014年3月27日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 組坂繁之