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東日本大震災から6年、福島、熊本、鳥取など被災地支援と脱原発のとりくみをすすめよう

「解放新聞」(2017.03.06-2801)

 死者1万8千人の犠牲者をだした東日本大震災から6年が経った。被災地では生活の基本となる住宅再建のための災害公営住宅の建設や集団移転などがようやくすすみ、災害公営住宅は約8割が完成したが、集団移転やかさ上げ(土地区画整理事業)は大幅に遅れ、復興庁によると集団移転は戸数ベースで58%にとどまっている。そして、2016年12月末現在、まだ約3万5千人が仮設住宅などで避難生活を続けている。なかでも原発事故によって多くの住民が避難した福島県では、県内外の避難者数が初めて8万人を割り、ピーク時からは半減したが、いまも7万9446人が元の自宅を離れて暮らしている。
  プレハブの仮設住宅では、カビやハウスダストなど住宅の劣化がすすんでいるが、プレハブ仮設の問題だけではなく生活も苦しさを増している。NHKの郵送による調査(2016年2月)では、「家計はだんだん苦しくなっている」と答えた人が43%いる。理由をみると交通費、住まい、医療介護などで支出が増えている。仮設から災害公営住宅に移った宮城県気仙沼市の60代の女性は、手取り月10万円のうち家賃や奨学金の支払いをすると残りは6万5千円しか残らないために、毎月貯金を5万円以上崩しながらやりくりしているが、節約のために毎日お風呂に入るのを我慢していると答えている。
  震災後、国の負担で被災者の医療費・介護料を免除していたが2012年から国8割、自治体2割にされ、現在その継続が問題になっている。岩手県では今年12月まで県が1割負担を継続しているので現在でも多くの市町村が免除を継続しているが、宮城県では16年度は9市町だけが免除を継続しただけで、17年度も免除継続を表明しているのは多賀城、気仙沼の2市にとどまる。
  また、「いまも震災による心身への影響が続いていますか」という質問に、63%が「いまも続いている」と答え、「気分が沈みがち40%」「意欲が湧かない34%」「よく眠れない33%」「歩きにくくなった23%」「生きているのがつらい10%」といまも心や身体に震災の影響が続いていることが浮き彫りになっている。

 いっぽう、東電は昨年7月、東電が福島第1原発の汚染水対策の決め手としていた「凍土壁」建設が失敗に終わったことを認めた。福島第1原発では、山側から敷地内に1日400トンも流れ込む地下水の一部が原子炉建屋内に浸入して崩れ落ちた核燃料に触れ、高濃度の汚染水が増え続けている。この対策として「凍土壁」が造られたのだが、壁を造れば炉建屋内外の地下水位が逆転し、汚染水が建屋から漏れ出すだろうということは、当初から指摘されていた。しかし、東電と政府はこれに目をつむり、政府は「国が前面に立つ」と豪語して約345億円の国費を投入したが、失敗に終わった。
  安倍首相は13年9月に全世界に向かって「フクシマはアンダー・コントロール。東京の安全は私が保証する」と大見得を切ってオリンピックを招致したが、汚染水は必死で汲み上げて林立するタンクに貯めても間に合わず、一部は海に吐き出されている。またそのタンクからも汚染水が漏れはじめるという、どうにもならないアウト・オブ・コントロール状態がいまも続いている。いったい、安倍首相は国際社会にどう説明するつもりなのか。
  ところで政府は、除染作業が終わったとして,楢葉町などで避難指示を解除し、住民に帰還を強制している。また福島県は、自主避難者への仮設住宅の無償提供を2017年3月で打ち切る方針を示した。避難者の切り捨て政策がはじまっている。政府は昨年6月、福島第1原発事故被災地の「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の避難指示を、2017年3月までに解除するという方針を閣議決定し、避難を続けている住民たちへの支援に期限をつけた。具体的には、2017年春、浪江町、富岡町、飯舘村の帰還困難区域を除く全域と、川俣町山木屋地区の避難指示を解除する。飯舘村と川俣町は3月31日の解除を決定し、浪江、富岡両町には1月中にも解除日を伝える見通しだ。
  だが、除染が終わったという宅地の放射線量が下がらず、安全への不安に加え、今春から本格化した汚染土の仮置き場の撤去の時期もあいまいだ。住民からは「これで帰村しろというのか」と怒りの声があがる。これまでに解除された自治体の帰還者数などは1割にとどまり、帰還者は高齢者が多い。楢葉町と南相馬市小高区では17年春、学校が地元で再開される予定だが、子育て世代がどれだけ戻るかが地域の今後を左右するとみられる。
  住民の多くは、「放射線量が下がったといっても、道路や住宅の周辺だけの除染で、町の背後にある広大な山や河原などは除染されていない。住宅地でも場所によっては線量が高いところがあちこちにある。そんなところに子どもを連れて帰れない」という。
  政府は、事故の収束もおぼつかない福島第1原発を尻目に、川内原発(鹿児島)を再稼働させ、今年は伊方原発(愛媛)を再稼働させた。しかし、福島第1原発の絶望的な状況を考えたとき、また関東大震災や東海・東南海・南海巨大地震の予測を考えたとき、原発の再稼働などありえない話だ。「まず再稼働ありき」、こんな無責任で危険な政策を容認することはできない。福島原発の事故は、原発は人類の手に負えない危険な存在であることをあらためて浮き彫りにした。

 昨年4月14日に熊本県で震度7をこえる大地震が発生し、益城町をはじめ熊本県内の複数の部落が大きな被害を受けた。中央本部は熊本地震救援本部を福岡県連に設置し、支援物資や義援金をよびかけて被災地に届けた。10月21日には鳥取県中部で震度6の地震が発生し、倉吉市など複数の部落では多数の家屋が被害に遭い、運動の拠点である教育集会所や老人憩いの家なども被害に遭った。
  熊本地震の被災者は、いまは仮設住宅に移って生活しているが、避難生活の疲労や環境の悪化によって病気にかかったり、持病が悪化したりして死亡する災害関連死が深刻化している。災害関連死は、阪神・淡路大震災で922人、新潟県中越地震では52人、東日本大震災では3523人、熊本地震では144人におよび、大きな問題となっている。東日本大震災では復興庁が、災害で助かった命をその後の生活で失わせないという立場から、被災者をフォローし、交付金などを活用した支援策をとってきたが、家や財産を失い家族を亡くした被災者は、どこでも同じ苦しみのなかにある。政府にたいして、熊本地震にたいする支援の強化を働きかけていかなければならない。
  東日本大震災の復興事業は、終わっていない。福島原発事故は収束のめども立っていない。部落解放同盟は、この事実を直視するとともに大震災および原発事故の被災者への支援を続け、脱原発にとりくむさまざまな団体と連帯して再稼働に反対し、原発廃止の運動をすすめていこう。


 

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