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「全国部落調査」復刻版糾弾の闘いを全国に広げよう

「解放新聞」(2017.04.03-2805)

 鳥取ループ・示現舎の「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の第4回口頭弁論が3月13日に東京地裁でひらかれ、鳥取ループ・Mが準備書面にそって差別的な持論をのべた。東京地裁には原告を先頭に130人が傍聴に参加し、地裁の一番大きな103号法廷は鳥取ループ・Mの差別煽動を決して許さないとする原告側の傍聴者で埋め尽くされた。

 鳥取ループ・Mは、準備書面にそって発言したが、準備書面では「部落解放運動や行政のあり方が新しい部落差別の要因である」とのべたうえで、就職差別に関連して「統一応募用紙の使用は企業の義務ではない。民間企業が誰をどのような基準で雇用するかは、法律の範囲であれば自由である」とのべて事実上、就職差別を容認する発言を並べ立てた。結婚差別についても「そもそも、結婚自体が容姿、職業、経済状態、思想信条、宗教、家柄など憲法で差別されないと明記されているような属性や、個人の努力ではどうにもならない属性で決められるものであり、とくに憲法で「両性の合意」のみが要因とされている以上、そこに部落差別が関係しても本人の判断に他人が介入することが出来ない」とのべ、結婚差別を容認する主張をおこなった。

 昨年成立した「部落差別解消推進法」についても、「「全国部落調査」は、「部落差別解消推進法」に書かれた内容を実現するために欠かせない資料といえる。特に実態調査には有効で・・・活用することが出来る」と新法制定をあざ笑うかのような主張をおこなった。また、「部落が抱える問題を理解し、解決するためには部落の場所を秘密にしてはならない」などとのべて復刻版出版の正当化を試みた。このほかMは、「「全国部落調査」が公開されたことにより、人権侵犯事件は増えていない」とか、「被差別部落出身者を自称すれば優位に立てるという歪んだ考えが原告にある」、「被差別部落出身者なるものは法的にも歴史的にも社会的にも存在しない」など荒唐無稽な持論を主張した。

 ところで今回の「全国部落調査」復刻版出版事件では、昨年3月28日に横浜地裁が出版禁止の仮処分を決定し、また4月18日に横浜地裁相模原支部がインターネットへの掲載の削除を命じた仮処分決定をおこない、Mがこれを不服として異議申し立てをおこなっていたが、この異議申し立てにたいする横浜地裁の決定が3月16日に届いた。

 復刻版出版禁止の仮処分にたいして横浜地裁は、「現在においても、なお、同和地区出身者らに対する差別行為を容認する意識が一定程度存在すると言わざるを得ず、・・・ひとたび本件出版予定物の出版等がされた場合には、部落地名総鑑と同様に利用されることにより、同和地区出身者の就職の機会均等に影響を及ぼし、更には、様々な差別を招来し、助長する恐れが高く」としてMの異議申し立てを却下し、仮処分決定と同じく書籍の「出版、販売又は頒布してはならない」と決定をおこなった。ただし、部落解放同盟の委員長ほか5人の個人債権者の申し立ては認めたが、「差別行為は・・・同和地区出身者ら各人に対して行われるものであって、債権者(解放)同盟に対して行われるものとは認められず」とのべ、また「(解放)同盟の業務遂行権を侵害しているとは認められない」として団体としての部落解放同盟の申し立てを認めなかった。弁護団と闘争本部は、この点について異議申し立てをおこなうことにした。

 一方、インターネットからの削除を決定した仮処分決定については、「全国部落調査」とそのPDF版「全国の同和地区」、および「部落解放同盟関係人物一覧」の削除、公表禁止は認めたが、その後に出された「全国部落調査ミラーサイト」と「同和Wikiメインページ」については却下した。このミラーサイトへの掲載については、Mが「自分はミラーサイトには掲載していない、誰かが勝手にやっているのだ」と言い逃れを続けていた。このため弁護団は、そもそも「全国部落調査ミラーサイト」も「同和Wikiメインページ」もMが掲載したものが利用されており、掲載した張本人であるMに責任があると主張してきたが、横浜地裁は掲載者が証明されていないとして、その部分を却下した。「ミラーサイト」については、出どころを突き止めることは技術的に難しく、弁護団、闘争本部は今後専門家を入れて検討することにした。部分的な課題は残ったものの、出版禁止、ネット掲載禁止の仮処分決定にたいするMの異議申し立てにたいして、横浜地裁がはっきりと図書の出版やネットへの掲載は「差別を助長する」とのべて却下したことの意義は重要だ。

 裁判所の決定を待つまでもなく、鳥取ループの行為は、部落差別が現存するなかでは、部落差別を助長・煽動する許しがたい差別行為そのものである。また、鳥取ループの行為は、同和問題を解決するための行政や企業、宗教団体、労働組合などでのさまざまなとりくみの成果を台無しにする許しがたい行為であり、解放運動を冒涜(ぼうとく)する行為そのものである。同和地区を暴くことで、同和地区に暮らす住民にたいする差別意識が煽られ、就職差別や結婚差別を受ける危険性が増幅することは目に見えている。

 部落解放同盟中央本部は先の第74回全国大会で、「全国部落調査」復刻版を企む鳥取ループを徹底的に糾弾することをあらためて確認し、糾弾闘争の一環として組織をあげて裁判闘争を闘い抜くことを決定した。また、具体的な闘いとして、法務省・地方法務局の行政責任の追及をよびかけた。法務省は、本人へ「説示」文を一枚突きつけただけで、あとは高みの見物を決め込んでいる。法務省がその気になればプロバイダーに強力に働きかけて鳥取ループの差別情報(全国部落調査)を削除させることができるはずだ。各都府県連は、法務省、地方法務局にたいして一日も早く削除するよう強く働きかけよう。

 また、大会では地方自治体や関係団体への働きかけを決定した。戦前の調査とはいえ、「全国部落調査」はもともと地方自治体が調査した情報である。行政が集めた情報が差別情報として悪用されているという意味で、また地元の住民が差別にさらされているという意味でも行政も当事者である。鳥取ループの所業は戦後70年間、部落差別をなくそうとしてきた行政や学校、企業、宗教団体などにたいする挑戦でもある。行政はもとより企業や宗教団体、労働組合などの関係団体が毅然として立ちあがり、鳥取ループの復刻版を許さない社会的な包囲網を築くことが必要だ。

 次回の口頭弁論は、6月26日にひらかれる。裁判を控えて「全国部落調査」復刻版糾弾の闘いをいっそう強化しよう。次回の第5回口頭弁論に全国から結集しよう。


 

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