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NEWS & 主張

部落史研究における地名・人名をめぐって
全国部落史研究会・公開講座

「解放新聞」(2018.03.05-2849)

 「部落史研究における地名・人名をめぐって」をテーマに全国部落史研究会公開講座が2月10日、大阪市でひらかれ、50人をこす参加者が集まった。全国部落史研究会(寺木伸明・代表)と、部落解放・人権研究所第1研究部門が共催した。

 インターネット上の問題として、大学や博物館などの研究機関が所蔵史料を公開しているなかに、部落の賤称語が書き込まれた古地図・絵図があり、廣岡浄進さん(大阪観光大学観光学部准教授)が調べた結果を報告。このなかにはアメリカの大学や地図コレクターが所蔵するものもあり、どう対応するのか問題を投げかけた。

 また、割石忠典さん(芸備近現代史研究会)は「地名・人名と個人情報保護」をテーマに、鳥取ループ・示現舎をめぐる差別問題と、これまでに出版された歴史的な資料集のあつかいを紹介したうえで、OECD(経済協力開発機構)が採択したプライバシーに関する8つの原則(収集制限=情報主体に通知あるいは同意を得る、データ内容、目的明確化、利用制限、安全保護、公開の原則=収集の実施方針など、個人参加=異議申立の保証、責任)は、部落史研究でも守られるべきとする考えを示した。

 古地図の展示や公開にかかわってきた阿南重幸さん(NPO法人・長崎人権研究所)は、長崎県連結成の契機となった「差別古地図事件」(1971年)などを紹介し、公開と制限の実状を示した。

 かつて中央本部で差別表現の問題にとりくんだ太田恭治さん(あとりえ西濱代表)は、事例を示しながら部落解放運動のとりくみを紹介。児童文学家さねとうあきらさんの作品(1974年)をめぐって生活実感から部落差別ではないかと問題に取りあげられたが、作品の題材となった東北地方までいって調べた結果、部落差別ではないことが明らかになった、そんなケースがあったことも示した。また、地名の表記については慎重なあつかいを求めた。

 市史編纂や絵図展示のさいには、地元の住民や運動団体と協議しながらとりくんでいる現状が各地から報告された。

 このほか、「配慮は必要だが、働いている教員がどこが部落なのかを知らないで同和教育ができるのか。実践の視点をいれておくべきだ」「配慮して困ることがある。部落の地名を消していた。史料の改ざんにつながる」「インターネットの問題は止めようがない」などの声があった。

 

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