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主張

 

荊冠旗のもとに固く団結し、部落差別撤廃に向けた
協働のとりくみを大きく前進させよう

「解放新聞」(2018.08.13-2871)

 猛暑の日が続くなか、大阪府北部地震や西日本を中心にした豪雨などで、大きな被害が出ている。とくに豪雨では、山間部や河川周辺の被差別部落で大きな被害が報告されており、復旧・復興のとりくみも、猛暑のなかで、作業そのものが思うようにすすまない状況にある。1995年1月におきた阪神・淡路大震災や、2011年3月の東日本大震災でも多くの人命が奪われ、いまだに仮設住宅での生活が続いていたり、故郷に帰れない多くの人たちがいる。

 地震などの自然災害を予測するのは難しいが、その後の復旧・復興作業の遅れは、まさに政府の責任であり、人災ともいえる。津波による原発事故がおきた東日本大震災での、避難指示区域の解除と、強制的な帰還措置など、無責任な政府の対応は許されない。

 われわれは、震災への復旧・復興の支援にかかわっては、人権を守る視点から、高齢者や障害者、女性、子どもなど、困難な課題をかかえる被災者に向けた活動をすすめてきた。地球温暖化などによる自然災害や、地震などに備えることも必要であるが、復旧・復興に向けたきめ細かな作業工程の準備も求められている。さらに、われわれの住む地球環境そのものについて、しっかりと考えていくことが重要だ。

 この間、われわれが訴えてきたのも、人権・平和・環境を基軸にした部落解放運動の前進である。これからの部落解放運動は、こうした課題を、たんなるスローガンではなくして、協働したとりくみを具体的にすすめるなかで豊富化し、部落差別撤廃と平和の確立の課題と結合させていくことが求められている。

 7月21日、松本龍・副委員長が死去した。2010年9月には、民主党政権時代の環境大臣と防災担当大臣に就任し、気候変動による環境問題の課題などにとりくんだ。とくに、同年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の議長を務め、最終日に議長提案を提示し、「名古屋議定書」を採択するなど、環境問題や、復興大臣として東日本大震災への対応に全力をあげた。このように7期22年間、衆議院議員として部落問題、人権問題の解決にとりくむとともに、青年時代には「関東部落青年友の会」でともに活動した全国の多くの仲間たちとの交流も続けながら、副委員長として、地元福岡だけでなく、全国各地のとりくみにも参加してきた。

 副委員長としては、5月27日の高知県連第63回大会での本部代表あいさつが最後になった。前日、高知入りした松本副委員長は、2016年7月に死去した森田益子・元中執の弔問に向かい、高知市協や高知県連役員と懇談するなどした。人と人とのつながりを大切にする、松本副委員長らしい行動であった。

 また、6月29日には、大阪府連副委員長や書記長なども歴任した、西岡智・元中央執行委員が、療養中のタイ・チェンマイの病院で死去した。1965年に中央執行委員となり、中央狭山闘争本部事務局長として、70年代の狭山闘争を指導し、部落解放運動の中心的課題として、全国的な闘い、共同闘争の闘いとして定立させた功績は大きい。杖をつきながらも、毎年の5月、10月の狭山中央集会にも参加し、石川一雄さん、早智子さんを励まし、中央本部職員にも「指示」を出していた。まさに、狭山闘争を最後まで「指導」した闘士であった。

 2022年には、全国水平社創立100年を迎える。長い部落解放運動の闘いのなかで、多くの先達、多くの仲間が志半ばでたおれてきた。無論、人の生には限りがある。部落解放-人間解放の使命を受け継いだ者として、闘いのなかで冥福を祈りたい。

 73年前の8月15日に敗戦を迎えた。日本軍国主義が、中国や朝鮮をはじめとしたアジア諸国への侵略戦争によって大きな被害をもたらした一方、沖縄地上戦や、広島と長崎への原爆投下、各地の空襲でも多くの犠牲者が出た。いま、安倍政権のもとで、沖縄には米軍のための新基地建設が強行されようとしている。「米国第一主義」を掲げるトランプ政権に、世界で唯一、追従するのが安倍政権である。

 この間、自民党の杉田水脈・衆議院議員が「(LGBTの)彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がない・・・。「常識」や「普通であること」を見失っていく社会は「秩序」がなくなり=cd=71fa」と月刊誌の寄稿文に書き、自民党本部は杉田議員の辞職を求める抗議行動で包囲された。また、同じく谷川とむ・衆議院議員は、インターネット放送局の番組のなかで「(同性愛は)趣味みたいなもの」と発言し、厳しい批判が集中している。

 いずれも、人権意識の低さを露呈したものであり、いくら安倍首相が「多様性を尊重する社会づくりをめざすのは当然」と弁明しようとも、こうした「常識」や「秩序」のもとですすめられる、安倍政権の改憲を絶対に許すことはできない。

 われわれは、2016年12月に公布、施行された「部落差別解消推進法」の具体化、狭山再審闘争の勝利や鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争のとりくみなどとともに、憲法改悪阻止の闘いを重要な課題としてとりくんでいる。また、来年は、統一自治体選挙と参議院選挙が実施される。反人権主義、国権主義を打破する政治勢力の結集に向けて、自治体選挙での組織内候補、参議院選挙での推薦候補の、それぞれの勝利のために、万全の体制でとりくみをすすめよう。さらに、来年は天皇退位=新天皇の即位と新元号制定などによる天皇制強化の策動も強まる。

 こうした時代情況のなかで、部落解放運動の果たす役割と責任は大きい。「全国水平社創立宣言」によって明示された部落解放-人間解放という崇高な使命を自覚し、荊冠旗のもとに固く団結し、多くの先達、多くの仲間の遺志を抱きながら、部落差別撤廃に向けた闘いに全力でとりくもう。


 

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