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部落解放同盟ガイド
見解

 

「えん罪50年を許すな! いまこそ証拠開示と事実調べ・再審開始を!」
集会アピール

 狭山第3次再審の闘いは、いよいよ大きな山場をむかえた。2009年からはじまった3者協議で、弁護団の要求と東京高裁の勧告によってこれまで80点以上の証拠が開示された。とくに、開示された石川さんの逮捕当日の上申書と脅迫状の筆跡の違いは一目瞭然だ。また、開示された捜査報告書や取り調べ録音テープによって石川さんの自白の疑問、捜査の問題も浮びあがっている。犯行現場に血痕はなく、証拠物に石川さんの指紋がないことなど、自白に頼ったえん罪の構造がますます明らかになった。さらに、先般、弁護団は、自白によって発見された時計のバンド穴の状態から証拠の時計が被害者のものではないことを明らかにする新証拠を提出した。万年筆、鞄、腕時計の疑問も深まっている。
  一方、検察官は、筆跡、スコップ、殺害方法について、弁護側鑑定に対抗する専門家の意見書を出してきた。弁護団は再反論の鑑定書、意見書や新証拠を来年春にかけて提出する。いよいよ来年は事実調べ・再審開始に向けて最大の山場をむかえる。
  検察官は、かんじんの証拠を「不見当」とし、番号が飛んでいる証拠物の内容さえ明らかにしようとしていない。弁護団は、証拠物の内容を明らかにするよう証拠リストの提示を求めている。法的根拠と必要性を指摘した刑訴法学者の意見書も提出している。検察官は証拠リストを弁護側に提示すべきである。
  昨日、東京高裁第4刑事部で「東電女性社員殺害事件」の再審公判がおこなわれ、検察官も無罪を主張し、即日結審した。現場遺留物や被害者の付着物などのあらたなDNA鑑定で別の真犯人の存在が浮びあがり、有罪判決の誤り、ゴビンダさんの無実が明らかになった。今回裁判所の勧告で開示された証拠物がもっと早くに開示され、科学的に検証されていれば、誤判からの救済はもっと早く実現していたはずだ。
  足利事件、布川事件、「東電女性社員殺害事件」とあいついだ再審無罪で明らかになったのは、検察官手持ち証拠の開示と科学的鑑定などの事実調べの必要性である。
  東京高裁第4刑事部の小川正持・裁判長は、まさにみずからが関与した「東電女性社員殺害事件」の教訓をふまえ、狭山事件で、証拠開示を積極的にすすめ、証拠リストの提示を勧告するとともに、弁護側提出の新証拠についての鑑定人尋問、脅迫状筆記インクについての科学的検証などの事実調べを1日も早くおこなうべきである。
  狭山事件では38年前に東京高裁で2審有罪判決が出されてから一度も事実調べはおこなわれていない。来年には狭山事件発生、そして石川さんがえん罪におとしいれられて半世紀になる。東京高裁は1日も早く事実調べをおこない、再審を開始すべきである。
  わたしたちは、狭山事件の第3次再審請求で、徹底した証拠開示と開示された新証拠の事実調べを求める。そして、えん罪根絶に向けて、すべてのえん罪被害者や支援者、司法の民主化を求める運動と連帯し、取り調べの可視化や証拠開示の法制化を実現する闘いを全力ですすめる。えん罪50年を許さず、1日も早い狭山事件の再審を実現しよう!

2012年10月30日
   狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

 

 

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