狭山支援者皆さんへ新年明けましておめでとうございます。
昨年は緊迫した状況下にあるということで、多大なご尽力を賜り誠にありがとうございました。弁護団や、支援者皆様方の「証拠開示を」の声に押され、無実を示す証拠や、証拠物のリストの開示に因って次々と私の無実が明らかにされてきたこともあって、裁判所も判断を下すのではないかと、支援者各位にも何時にも増してご支援をお願いして参りましたが、12月21日に行われた第26回三者協議においては、まだ証拠開示の課題の協議が継続となり、現在の植村裁判長のもとでおこなわれている三者協議において徹底した証拠開示と弁護団提出の新証拠の事実調べを実現すべく今年に望む私の意気込みと皆さんの変わらぬご支援を賜れますよう、一筆執らせていただいた次第であります。
私は決して焦りません。兎に角、検察に対し、徹底的に証拠開示を求めた上で、裁判長に決断を迫って参ります。ただ一言触れておきたいことは、狭山事件は再審請求が東京高裁に係属していることからいたしかたないのかもしれませんが、私自身は証拠物の一覧表の開示を促された河合裁判長がさらに証拠開示をすすめ事実調べに入る判断をされるものと思っておりましたのに、昨年6月末に交代されてしまったことです。しかし、あらたに就任された植村稔裁判長も証拠開示のこれまでの裁判所の考えを踏襲すると表明されているとのことですので、私も決意をあらたにしているところです。
新任の裁判長であれば、確定判決文は勿論の事、検察・弁護団の双方から出されている証拠や鑑定書等に十分に目を通して事実調べをおこなってもらいたいと強く望みます。いずれにせよ、私は、国家権力に対し、いかなることにも動じない姿勢で闘って参る所存です。
昨年は白内障の手術をし、支援者皆様方にはご心配をおかけしましたが、若干術後の経過が思わしくないだけで、体力的には取り立てて悪い所もなく、半世紀以上も闘ってきたのですから、警察・検察を含む国家権力が証拠開示を渋り、裁判の引き延ばしを図っているとすれば、それに負けない強い意志で対抗していきます。
暮れにはイギリスの雑誌「エコノミスト」の取材を受ける中で、記者が「えん罪や死刑制度の現実からは日本の司法は世界から見て一歩も二歩も後退していると思う」と言っておられましたが、それを変えるのが、吾々の闘いであり、狭山の冤罪が晴れれば、司法の在り方を根本的から変えなければなりませんし、その意味では、狭山裁判は試金石となり、その力量が問われていると、私は自分自身に言い聞かせ、不退転に闘って参る決意でおりますので、どうか皆さんも、私、石川一雄に最大限のお力添えを賜ります様、心からお願い申し上げます。
末尾になりましたが、皆さんにとって今年もご健勝と、ご活躍を念じつつ、私の年頭に当たってのご挨拶に代えて失礼いたします。
2016年1月
石川 一雄