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部落解放同盟ガイド

見解

生活保護受給世帯への「差別的対応」に対する抗議と申し入れ

2017年1月18日

小田原市長 
  加藤 憲一 様


部落解放同盟中央本部
執行委員長 組坂 繁之

 

                      
部落解放同盟神奈川県連合会
執行委員長  三川 哲伸

 

生活保護受給世帯への「差別的対応」に対する抗議と申し入れ

 日頃より、部落差別の撤廃をはじめとした同和問題・人権問題の根本的解決にむけた取り組みに敬意を表します。
 さて、すでに新聞などでも報道されていますように、2007年以降、小田原市生活支援課の職員ら64人が「不正受給してわれわれを欺くのであれば、あえて言う。そのような人はクズだ」などの趣旨の英文が背面にプリントされたジャンパーを自費製作、それを着用して保護受給世帯を訪問していたことが明らかになりました。さらにジャンパー左胸には漢字で「悪」の上に「×」印を付け、「HOGO NAMENNA」(保護なめんな)と読めるエンブレムが付いており、生活保護関係の相談に応じるケースワーカーや庁内勤務の指導員など現職28人が着用していたとされます。
  報道によると、2007年7月、職員2人が、窓口で生活保護を打ち切られた市民にカッターナイフで切りつけられた事件が発生したことが背景にあり、「士気を高めるため」に当時の担当係長の発案で業者に依頼して作成したものとされますが、冬には防寒着としてジャンパーを着用し、生活保護世帯を訪問しており、それが今日まで続いていたことに強く抗議するものであります。
  小田原市は「差別意識はなかったが、不適切な表現だった」とすぐさま着用を禁止しましたが、2007年以降、10年余も続けられてきたこと、ジャンパーに描かれた内容に疑問を呈したり、指摘したりする職員がいなかったことは、担当職員のみの問題ではなく、小田原市行政全体における人権問題への認識の欠如と差別体質が問われていることを強く自覚すべきであります。
  私たち部落解放同盟は、部落差別撤廃と人権が尊重された社会の実現にむけた取り組みをすすめてきましたが、今日の格差や貧困という深刻な社会問題を考えたとき、小田原市においては、その解決をめざす行政施策をすすめるのではなく、生活保護世帯への偏見やマイナスイメージが根強く、ジャンパーに記載された内容についての疑問や問題点さえも見抜けなくなっていたという、市職員一人ひとりの人権意識の欠如を指摘せざるをえません。
  神奈川県連では、従来から生活相談活動を実施しており、その中でも生活保護に関わる相談の際、多くの自治体の担当窓口で不適切な対応があるため、県内の市町村の会議等でも再三指摘し、改善を求めてきたところです。今回の事態をうけて、あらためて、徹底して問題点を明らかする必要があると考えます。
  とくに、昨年12月9日には「部落差別解消推進法」が成立し、同月16日に施行されていることなどをふまえ、小田原市として、これまでの同和行政・人権行政の取り組みの点検も含め、市民一人ひとりの尊厳と人権を尊重する行政運営に取り組むことを基本にしながら、今回の問題に関する見解を明らかにするように要望いたします。

以 上

 

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