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部落解放同盟ガイド

声明

「共謀罪」の審議入りに対する抗議声明

 安倍政権は、2017年4月14日、組織犯罪を計画段階で処罰を可能にする「共謀罪」の成立要件を絞った「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」を衆議院に提出し、審議入りした。6月18日まで開かれる今国会で成立させる方針だ。これまで3回、国会に提出されたが、いずれも廃案となった「共謀罪」を「テロ等準備罪」としているが、国民の基本的人権を侵害し、えん罪を生み出す可能性のある法案を成立させてはならない。

 政府案は、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」が「当該行為」を「2人以上で計画」し、それを「実行するための準備行為が行われた」時は「刑に処する」ことになっている。政府説明は、「一般の人が処罰の対象になることはない」「組織的犯罪集団と関わりのない方が「テロ等準備罪」の処罰の対象となることはない」と強調しているが、「組織的犯罪集団」「テロリズム集団」の定義はなく、捜査機関の判断に委ねられている。普通の会社や市民団体・労働組合でも、犯罪を共謀したと捜査当局に判断されれば、組織的犯罪集団と認定され、「共謀罪」の対象になる。

 また、犯罪は計画で成立するが、処罰のためには合意成立後の準備行為が必要とされている。しかし、どの程度の具体的な行為を準備行為と判断するのか限定されておらず、何が処罰の対象であるかは曖昧だ。共謀の合意さえあれば、関係場所に行った、預金をおろすという市民が日常的に行っている行為が犯罪とみなされるという恐ろしい法律だ。さらに、当初、法案の条文には「テロ」の文字はなく、政府が国会答弁で使ってきた呼称「テロ等準備罪」との整合性が与党の事前審査で問題にされ、「組織的犯罪集団」の前に「テロリズム集団その他の」という文言を加える修正をおこない、過去の原案では、676あった対象犯罪が与党内の議論で絞り込まれ、「現実に想定される罪」を対象に277となった。しかし、罪名を変更しようが、対象犯罪を絞り込んだとしても、この法案は、憲法19条が保障する内心や思想の自由を侵害し、刑法の基本原則を定めた憲法31条に反していることに変わりはない。

 安倍政権は、「特定秘密保護法」(2013年)、「戦争法」(2015年)と、「戦争をする国」づくりにむけた体制の整備を強行し、「盗聴法」拡大(2016年)などに引き続いて、「共謀罪」を「組織犯罪処罰法改正案」として成立させようとしている。その目的は、「戦争をする国」づくりにむけて、市民を監視し、管理社会をつくることだ。3度も廃案になった「共謀罪」をオリンピックとテロ対策を口実に制定しようとしている暴挙を許してはならない。基本的人権の抑圧を正当化するこの法案を廃案にするために、市民が連帯し反対の声をあげていく必要がある。現在、「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」などが、「共謀罪」の創設に反対する緊急統一署名を展開している。

 「共謀罪」の廃案にむけて、共闘団体や市民と連帯しながら、署名運動の取り組みを強めるとともに、安倍政権の暴挙を許さず、人権と平和の確立、民主主義の実現を求めて全力で闘い抜こう。

2017年4月19日
部落解放同盟中央本部

 

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