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部落解放同盟ガイド

声明

集会アピール

 54年前のきょう、警察は当時24歳だった石川一雄さんを別件で逮捕し、女子高生殺害の取調べを連日おこなった。警察、検察は別件逮捕、再逮捕というやりかたで1ヵ月以上におよぶ厳しい取調べを続け、無実を叫ぶ石川さんに、弁護士や家族との接見を禁止し、兄を逮捕すると脅してウソの自白に追い込んだ。そして、自白によって被害者の所持品が発見されたかのように証拠をねつ造し、石川さんを犯人にでっちあげたのだ。しかし、犯人でないがゆえに、犯行内容を何も語れない石川さんに警察官らが誘導し、ウソの自白がつくられていったことが証拠開示された取調べ録音テープによって明らかになった。54年前の冤罪の真相が証拠開示と弁護団が提出した新証拠によって、つぎつぎと暴かれている。

 昨年8月に狭山弁護団が提出した下山鑑定は、石川さんの家から発見され有罪の証拠とされた万年筆が被害者のものではないことを科学的に明らかにした。さらに、昨年、この発見万年筆で書かれたものが証拠開示され、ペン先を調べた川窪鑑定によって発見万年筆は脅迫状の訂正に使われた万年筆でもないことが明らかになった。有罪証拠とされた万年筆は事件とまったく関係のない偽物だ。殺害後、被害者の万年筆を奪って脅迫状を訂正し、自宅へ持ち帰ってカモイに置いていたものが自白通り発見されたとしていた有罪判決は完全に崩れている。そもそも万年筆が発見された場所は石川さんの家のお勝手入り口の高さがわずか176センチ、奥行き8.5センチしかないカモイだ。2度の徹底した警察の捜索で見つからなかった万年筆が3回目の捜索で発見されるという不自然さをあわせて考えれば、捜査機関によるねつ造以外に考えられない。まさに袴田事件の「5点の衣類」と同じである。

 さらに、当時の石川さんが読み書きができなかったことが取調べ録音テープで客観的に明らかになった。取調べ録音を分析し、当時の石川さんは部落差別によって教育を奪われた非識字者であり、脅迫状を書けなかったことを明らかにした森鑑定も提出された。証拠開示された事件当時の航空写真を専門家として分析した土地家屋調査士の報告書は、鞄を捨てたという石川さんの自白と実際の発見場所がまったく食い違っていることを明らかにした。石川さんは脅迫状を書けず、有罪の3物証がねつ造であり、虚偽自白がつくられたことが新証拠によって満天下に明らかになっている。東京高裁はこれら専門家による新証拠について鑑定人尋問を必ずおこなうべきだ。検察官は下山鑑定に対する反証を準備しているという。弁護団は反証が出されれば再反論し、石川さんの無実をいっそう明らかにする。わたしたちはいまこそ無実の新証拠を学習し広く市民に宣伝しなければならない。

 石川さんが半世紀以上も冤罪を叫び続け、多くの新証拠が提出されてきたにもかかわらず、この40年間の再審請求で一度も事実調べがおこなわれていない。このような不公平・不公正はこれ以上許されない。わたしたちは、狭山事件の第3次再審請求を審理する東京高裁第4刑事部の植村稔裁判長が、証拠開示を検察官に勧告し、鑑定人尋問などの事実調べをおこない、再審を開始するよう強く求める。弁護団が開示を求める証拠資料を東京高検がすみやかに開示するよう求める。
袴田事件の一日も早い再審開始と無罪判決、すべての無実を叫ぶ人たちの再審開始を求める。そして、冤罪被害者や支援運動と連帯し、司法反動を許さず、冤罪根絶にむけて、再審における公正な証拠開示の確立や取調べの全面可視化を実現する闘いを全力ですすめる。

 一日も早く石川さんの「みえない手錠」をはずすために狭山事件の再審を実現しよう!

2017年5月23日

 

狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

 

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