7月の参議院選挙の遊説中に銃撃によって亡くなった安倍晋三元首相の「国葬」が9月27日午後に強行された。多くの報道機関の世論調査においても、「国葬」反対が多数という結果にもかかわらず、岸田内閣は、国会での論議も、国会決議もないままに、閣議決定のみで「国葬」を実施した。「国葬」の名のもとに、市民に弔意を強制することは憲法違反であり、断じて許されない。
安倍元首相への銃撃について、その背景には、多額の献金集めによる深刻な被害をもたらした旧世界基督教統一神霊協会(現世界平和統一家庭連合)の存在が明らかになっており、政治と反社会的団体との関係も大きな社会問題になっている。岸田首相は、憲法違反の「国葬」について全く説明しないばかりか、こうした旧統一教会問題だけでなく、安倍元首相による「桜を見る会」や森友学園、加計学園などに関わる疑惑さえも全く解明しようとしていない。多くの世論調査で、「(「国葬」についての)岸田首相の説明では納得できない」という回答が6割を超えているのは当然である。
岸田首相は、憲法改悪をすすめてきた安倍政治を礼賛、賛美することで、低迷する支持率の回復にむけて「国葬」と弔問外交を政治利用したのである。
このように、多くの反対があるなかで、「国葬」の法的根拠も明示できないままに、弔意を強制するなど、憲法違反の「国葬」を強行したことに断固抗議するものである。
2022年10月3日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 西島 藤彦