今年は私が不当逮捕され、冤罪に陥れられて60年であり、ウソの「自白」を強要され、騙されたというものの、このように長期間に及んでも未だ解決の目途もたてられず、自責の念に駆られ、同時に自分を励まし、今年こそ、冤罪を晴らすとの一念で、元気に2023年の第一歩を踏み出しました。
特に昨年、弁護団は、冤罪の真相を究明し、再審開始・無罪判決をめざして11人の鑑定人の証人尋問と、万年筆インクの鑑定の実施を強く求める事実取調請求書を裁判所に提出したこともあって、第3次再審も大詰めの闘いと心に留め新年を迎えた次第であります。
裁判所が、弁護団の求めに真摯に対応し、鑑定人尋問とインク鑑定を実施すれば、立ちどころに真実が解明されることでありましょう。真実は一つであり、裁判所が如何に真相究明に向き合い、公明正大に狭山事件を取り上げて頂けるか否かであり、偏見を持つことなく実務を全うされるよう心から願っています。
裁判所に客観的事実に即して精査して頂ければ、最早、諸々の新証拠に因って私の冤罪性は動かし難いものとなっています。裁判所には速やかに鑑定人尋問を行って頂けるものと確信しております。
一方、昨年を振り返って、一番うれしく、心に残ったことは、短期間で、目標の10万人以上の署名を集めて頂いた事でありました。組織、支援者皆様方に奔走して頂いた御蔭でありました。一次署名集約日である10月26日、連れ合いは眠れなかったようで、遅い時間に部落解放同盟中央本部に電話をかけて確認したようです。その時「10万筆を超えた」との返事を頂き、二人で感激し、涙とともに、感謝の気持ちで一杯でした。多くの皆様に、ご支援・ご協力を頂きましたが、あの夜の感激はひとしおでした。ほんとうにありがとうございました。
1月下旬には第53回目の三者協議が開かれ、2月末までには、検察から鑑定人尋問等についての意見書も出されてきます。引き続き署名活動に取り組んでいただきたく、心よりお願いいたします。
今年も何かとご協力を賜らなければなりませんが、本年こそ再審開始が実現し、私、石川一雄の冤罪が晴れるよう、可能な限りご協力を賜りたく切にお願い申し上げます。
末尾になりましたが、皆様にとって最良の年になりますようご祈念申し上げて年頭に当たってのご挨拶といたします。
沈黙の司法に突き付け科学が証し 無駄な抵抗検察機構
2023年1月
石川 一雄
全国の狭山支援者各位