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高市早苗首相は、1月23日開会の通常国会冒頭に衆議院を解散することを19日に正式表明した。解散理由として、首相交代および自民党と日本維新の会との新たな連立による政権枠組を変更したことや、積極財政への転換と安全保障政策の抜本強化を主な解散理由としている。
高市首相の掲げる責任ある積極財政、自民・維新の連立で合意された政策などが、選挙での審判を受けていないのは確かだが、それならば、何故、昨年中に解散しなかったのか、つじつまが合わないことは明白である。また連立合意の政策の多くは具体化されておらず、政権発足からわずか3ヶ月目という中途半端さとともに、前回の衆議院総選挙から1年4ヶ月しか経過していない段階での解散であり、有権者が判断する材料も乏しい状況にある。しかも、今回の衆議院総選挙は、1月23日に解散、1月27日公示、2月8日投開票となり、16日間という戦後最短となる短期決戦でもある。
過去、多くの政権は新年度予算の成立を重視し、年初の衆議院解散・総選挙を自重してきたが、今回、通常国会冒頭に解散した結果、新年度予算の成立が4月以降にずれ込むことは確実である。物価高対策、人口減少・少子高齢化を見据えた社会保障制度改革や給付付き税額控除を議論する国民会議の議論など、多くの政策が先送りされ、大きな「政治空白」を生み出すこととなった。
本来であれば、通常国会で高市政権は予算の膨張による物価高や財政悪化への懸念をはじめ、対立と分断が深まる国際情勢への対応、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との自民党や高市首相自身とのかかわり、首相官邸の安全保障担当者による「核保有」発言、台湾有事の存立危機事態発言のほか、連立を組む日本維新の会で露見した国民健康保険料逃れ問題などが厳しく追及されるはずであった。予算審議前の解散には、国会論戦で失点を重ね、有権者の支持を失うことを避けようとの思惑が透けて見える。つまり、今回の衆議院解散・総選挙は支持率が高いうちに議席増を狙う「自己都合解散」であり、大義なき身勝手な権力乱用である。
一方、野党は、1月16日に立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を結成することで合意、1月22日に結党大会を開催し、衆議院総選挙を新党として闘うこととなった。米国に追従し、軍事大国化をめざす高市政権に対抗し、対話と合意形成を重視する中道の立場から、社会的包摂をすすめる政策を掲げることは、新たな政権選択肢を提示する動きである。
高市政権がすすめるスパイ防止法の制定、武器輸出制限の撤廃、選択的夫婦別姓や包括的な人権の法制度などの否定姿勢など、人権確立にむけた取り組みや平和主義を後退させる高市政権の路線と、差別排外主義的な政策を主張する参政党が伸張し、ポピュリズム政治が強まる現状に対し、「中道改革連合」が新たな選択肢の旗を立てることは大きな意義を持つといえる。
ただし、選挙対策だけが先行し、明確な政権構想が示さなければかえって有権者の失望を招きかねない。自民党内の穏健派や国民民主党も含め、幅広い議員に結集を呼びかけ、社会の多様性を尊重する政策や政治資金規正の強化など、政権の対抗軸となる公約・政策を明確に訴えていくことが求められている。
以上のような政治情勢をふまえて、わが同盟は、今回の衆議院総選挙において、「中道改革連合」に結集する候補者の必勝に全力をあげて選挙闘争に取り組むこととする。
「部落差別解消推進法」の強化・改正をはじめ、「情報流通プラットフォーム対処法」の活用によるインターネット上における部落差別情報の氾濫や人権侵害の防止、再審法の改正によるえん罪事件の防止、国内人権機関の創設による人権侵害の被害者救済や包括的な人権の法制度確立、格差や貧困の解消にむけた施策の充実、人権と平和の確立と立憲主義を土台にした政治の実現にむけて、選挙闘争を闘い抜こう。
2026年1月23日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 西島 藤彦