「基本法」とは
法律の題名が「○○基本法」というように「基本法」の語をつけているものをいう。現在、基本法の題名が付けられている法律としては、教育基本法、災害対策基本法、中小企業対策基本法、観光基本法、原子力基本法、農業基本法、林業基本法、消費者保護基本法、交通安全対策基本法、土地基本法、環境基本法及び障害者基本法の12がある。
基本法であれ、その他の法律であれ、国法の形式としては、いずれも国会の議決によって成立したもので、両者でその形式的効力の点に異なるところはないが、基本法は一般の法律に比べて次のような特色を有するといえる。
(1) 基本法においては、国政に重要なウエイトを占める分野について、国の制度、政策等の基本方針が明示される。このため、基本法によっては、特に前文を置いて、その制度の背景、決意等を格調高くうたうものもある。(教育基本法、農業基本法)
(2) 基本法とされる以上、基本法と同一の分野に属するものを対象とする他の法律に対して優越する性格を有する。このため基本法において、同法に定める施策を実施するため必要な法制上の設置を講ずるべきこと(中小企業基本法)、あるいは、個別に具体的内容を定めるべきこと(原子力基本法)、等が定められることが多い。その意味で、上記の法律は、基本法に誘導されるという関係に立つ。
(3) 基本法に定める事項の運用の重要性にかんがみ、通常の諮問機関とは異なる、基本的な施策の推進等の事をつかさどる機関が設けられることが多い。(例えば、消費者保護会議、消費者保護基本法18、19)
(4) 基本法にあっては、その性格上、直接に国民の権利義務に影響を及ぼすような規定は設けられず、通常、その大半は、訓示規定か、いわゆるプログラム規定で構成される。(例外=災害対策基本法)
〈参照〉「法令用語辞典」(学陽書房)