「部落地名総鑑」事件
1975年11月、差別図書〈部落地名総鑑〉がダイレクトメールを使って販売されていることが明らかになりました。ダイレクトメールの内容は、採用において被差別部落出身者を排除することをそそのかすものとなっており、書籍の内容もその目的にしか使えないものでした。〈部落地名総鑑〉には、全国の部落の地名・所在地・戸数・主な職業などが記載され、1冊5000円から5万円程度で販売されていました。購入者の大半は企業であり、日本を代表する大企業も数多く含まれているが、購入動機は採用にあたって部落出身者を調べるためでした。
1977年より、部落解放同盟は組織をあげて糾弾闘争に取り組みました。この事件の反省を契機に企業での部落問題や人権問題の啓発・研修が広く行なわれるようになりました。また、行政機関による採用差別を防ぐための啓発、地方自治体での身元調査を規制した条例の制定など差別撤廃にむけた取り組みが前進しました。