差別ホームページ作成者に対する判決にあたって
差別ホームページ作成者にたいし10月2日、名古屋地裁が判決をいいわたした(2342号既報)。判決を受けて愛知県連が出した声明の全文を掲載する。
差別ホームページ「B地区にようこそ.in愛知県」作成者に対して、名古屋地方裁判所(刑事第3部森嶋聡裁判長)は懲役1年執行猶予4年の判決を出した。
判決は、「被告人は職につかず、匿名の掲示板サイトへの誹誇中傷的な書き込みにのめりこむなかで同和問題に関心を抱くとともに、被害会社の中傷記事をみて面白半分に犯行に及んだ」「犯行動機は、未熟、浅はかというはかない」「事実無根の罵言雑言を書き被害会社の名誉と社会的信用を損ねることはなはなだしく、差別助長も大いに懸念される」「愚劣、陰湿である」とし、「予防的観点を考えると刑事責任は到底軽視できない」が、「本人の事情として、法務局で同和問題の啓発教育を受ける」、「働く意志をしめしている」ことなどを考慮して執行猶予としたというものである。
ホームページ作成者は公判のなかで、謝罪の意志をしめしているが、作成者が本当に謝罪の気持ちがあるならば、私たちに真実を語って欲しい。部落問題をどこでどのように知ったのか、資料をどこで集めたのか、部落にきて写真までとり、何故、部落や部落内企業を暴き、誹誇・中傷するホームページを作成したのか、逮捕・起訴され判決を受けた今、部落差別についてどう思っているのか、自分の行った行為についていま考えていること、これからどう行動していくつもりなのかなど率直に語って欲しい。
愛知県連は、作成者を見つけるのに私たちの努力の限界を超えていたことから告発に踏み切ったわけだが、インターネット上の差別事件について法規制が必要である。差別を受けた当事者が、現行法では「名誉毀損罪」で訴えるしかない現実がある。差別を規制する法整備と人権侵害を訴えることのできる人権委員会設置の必要性を今回の差別ホームページ事件を通して改めて痛感したしだいである。
差別は時代とともに現象形態を変えるが、部落の完全解放・人権確立に向けさらに闘いぬくものである。
部落解放同盟愛知県連合会
委員長 吉田 勝夫
2007年10月15日
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