【埼玉支局】土地家屋調査士が職務上請求書で戸籍謄本や住民票を不正取得した事件(本紙2326号、2330号既報)で県連は、7月10日、埼玉土地家屋調査士会(さいたま市浦和区・土地家屋調査士会館内)にたいし不正をおこなった小川町のK調査士にたいする対応と再発防止のための会員研修を申し入れた。また、翌日の11日には、さいたま地方法務局と話し合いをおこなった。
調査士会へ申し入れ
調査士会への申し入れには、県連から片岡明幸・委員長ら8人が参加、調査士会からは宮田精一・会長ら4人が出席した。
宮田会長は、「本会の会員が不正をおこない、社会にたいして大変ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。つづいて調査士会から「3月にさいたま法務局から事件の調査依頼があり、本人をよんで調査を開始。4月27日には綱紀委員会をひらき本人に弁明を求めたところ、本人が非を認め「弁明しない」と回答したので、6月11日に会として職務上請求書の使用禁止と厳重注意の処分を決定、その上で6月15日にさいたま法務局に「当局より厳重な処分を要望する」との文書をつけた報告書を提出した」との経過説明があった。
これにたいして県連側から「厳重注意だけなのか」との質問があり、宮田会長は「調査士会には懲戒権がないので、懲戒権のある法務局に厳しい処分を要請した」とのべた。また、「退会させてしまうと、処分ができないという問題もある」と説明した。法令によると法務局の処分は①戒告②2年以内の業務停止③業務禁止の3種類。
県連は、「一昨年の行政書司士不正事件を他人事のように見ていたのではないか」と指摘し、「事件の本質を身元調査に絡む人権問題として捉え、研修会を開催するべきだ」と申し入れた。
法務局との話し合いも
さいたま地方法務局との話し合いには、片岡委員長ら3人が参加、法務局からは佐藤弥内・総務課長ら4人が出席した。
佐藤総務課長は、処分については非公開が原則と前置きしたうえで、「(不正取得は)断じてあってはならないことだ。法に照らして違反があれば、厳しい処分を科せられることになるだろう」とのべ、処分の結果は埼玉土地家屋調査士会に報告すると説明した。また、調査士会への指導は「処分の決定をふまえて指導したい」とのべ、さらに「上級機関である法務省からも日本土地家屋調査士会に指導することになるだろう」とのべた。
県連は、「法改正直後の違反である。全国の8士業会に「違反したら厳しい処分がおこなわれる」と、教訓になるような姿勢を示すべきだ」とし、法務局が調査士会にたいしてしっかりした指導をおこなうこと、事件の本質が身元調査に関わる人権問題である点を研修会などで指導するよう要請した。
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